今回は、最近話題となっている「働き方」について触れたいと思います。皆さんは、どのように、何を大切にして、働いておられるでしょうか?

 前回も少し触れましたが、私はコンピュータグラフィックスを使用して映像を制作する会社を経営しています。

 企業のプロモーションを行う場合、商品を理解してもらった上で共感してもらい、購買欲をかき立て、行動を促す役割を担っています。

 プロモーションツールの一環として映像を制作する場合、クライアントから広告代理店に相談があった後、映像プロダクションを通じ、プロモーション映像の実制作が始まります。

 最近は、撮影を要さない相談などは企業から直接、映像制作会社に話が来たり、代理店から映像制作会社に話が来ることもあります。

 そのような映像業界の中で、私の会社(GORAKU)は設立から5期目で大小のプロジェクト約430案件を制作してきました。
決して、大きな会社ではないので一人当たり年間約30案件を制作してきたことになります。

 この本数の案件を制作するには、それ相当の時間を要するのは事実で、「昼夜を問わず、働き続けているのではないか?」と想像される方も多くいると思います。

 残念ながら映像業界は、労働時間が多く、それに対して対価が払われないような風潮もあるのは事実ですが、私達はそのようなことはまずありません。

 私が会社を作った時に、第一に掲げた目標が「労働環境の構築」でした。なぜ、第一にそれを掲げたのかと言えば、私の経歴にも関係があります。

 会社員時代、まだ世の中に裁量労働制が定着しておらず、従業員の認識不足もあり、残業代が支払われない会社側の都合の良い制度だとばかり思っておりました。

 裁量労働制は「労働者の健康・福祉の確保に関する措置、労働者の苦情処理に関する措置を講ずることが義務付けられている。」という項目があります。それに関わらず、この条件を知らないでいる労働者がほとんどだったので、上司に相談も出来ず、よく徹夜中に社員で集まって愚痴をこぼしてしまっていました。

 CG制作チームは他の制作チームとは関わることがあまりないので、朝に出社して、夜中まで仕事して、その間、作業部屋に缶詰状態になり、仮眠を取る・・・を繰り返し、何日間か椅子で寝る生活をすることもありました。

 その環境下で、太る人、痩せる人、いろいろといますが、私は目の下の隈が定着して未だに取れません。しっかり寝た次の日でも「お疲れですね」とか「寝起きですか?」などと良く言われます。

 このような状態が当たり前のようになっている会社で働きたいとは思わないですよね?

 こうした背景があってかどうかは定かではないですが、映像業界の人口が年々減ってきているのは事実です。最近は動画産業も活発になり、また「映像業界の人口」も戻ってきましたが、即戦力というわけにもいかず、どこの会社も人手不足はいつも課題なのではないでしょうか。

 私共は大規模にすることは今のところ考えておりません。なぜなら、小規模だからこそできる労働対価と労働環境を構築し、ロングスパンで従業員満足度(以下ES)を優先的に考えたいからです。

 ESが向上することで顧客満足度が単純に向上するとは考えていません。しかし、従業員である前に、一家のパパだったり、ママだったり、もっというと一人の人間ですので、その一個人の人生を辛いモノにはしたくないからです。

 私共の会社は「株式会社GORAKU」といいますが、「GORAKU」には「吾楽」という意味を込めています。「吾」(自分)が楽しめるように、「吾」(自分)が身も心もやすらかになれるように、「吾」(自分)が豊(楽)かになれますように、と願って名前をつけました。

 この願いを貫きながらも、なぜ年間複数の案件が制作できるかも含め、次回説明させて頂きたいと思います。

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GORAKU 川田昇吾
1982年生まれ。CGプロダクション勤務を経て2010年に独立し、2014年3月に株式会社「GORAKU」を設立。CM、MV、展示映像などのCG制作やディレクションを行う。 視覚コミュニケーションのプロフェッショナルとして、企画や演出、デザインに加え、「無駄のないワークフロー」を提案。CGを軸としたMV、CM、VPのディレクション、LIVEビジョンやプロジェクションマッピングといった大型映像の監修、企画にあわせたチームをオーガナイズし、「突き詰めた映像表現」には定評がある。