■都議会の変化

 8月31日、NHK首都圏NEWSで「政務活動費情報公開度 東京都は9位に上昇」と報道された。
 
 全国市民オンブズマン連絡会議が政務活動費の情報公開度ランキングを公表している。東京都議会は昨年度34位だったが、今年度は9位に急上昇した。

 「領収書、会計帳簿のネット公開開始」「活動報告書、視察報告書の作成義務付け」を行っただけだが、それだけでゴボウ抜きだ。「活動報告書、視察報告書」をネット公開すればベスト5に入る可能性が高くなる。

 もちろん、多岐にわたる議会改革の議論の中で、政務調査費の公開度はあくまでも1つの課題だ。しかし、「見えにくい」という批判を受けてきた問題を「見えるようにした」ことは評価していただけるのではないだろうか。

■改革は政務活動費だけではない

 東京都議会で今、何が起こっているのか。

 都議会選挙の1カ月後、議会改革検討委員会(以下「検討委員会」)が設立された。この会議で合意されたものが実現し、賛否のあるものは議論が続けられる。検討委員会の中で結論の出たものの1つが、政務調査費の情報公開だった。

 しかし、この検討委員会は、突然動き始めたわけではない。都議会では、2008年から「都議会のあり方検討委員会」が設立され、議論を重ねてきた。あり方委員会は、通年議会のあり方や行政計画の議決方法に一定の方向性を見出したものの、「見えやすい改革」とは言い難かった。また、検討委員会が議長直属の委員会ではないため、開催日数も確保しにくいという弊害もあった。

 これらの「改革しにくい経験」を経て、検討委員会は「開催しやすい」「見えやすい」形を目指したことも紹介しておく。まさに、経験を力に変えて、実現した好例と言える。

 改革委員会で議論しているのは、政務調査費だけでない。

 既に結論の出たものとして、

①議員公用車の見直し(20台→7台)に段階的に削減

②常任委員会のインターネット中継は、まずは総務委員会から試験試行

③議会のペーパーレス化

④議会棟の全面禁煙

⑤議員の出産育児のための議会欠席規定の見直し
 
などが挙げられる。

 背景には、都議会議員の構成の変化がある。

 ご存じのように、昨年の都議会議員選挙では「都民ファーストの会」が躍進した。都民ファーストの会は、「ふるい都議会をあたらしく」をかかげ、都議会改革を訴えた。圧倒的とも言える有権者の支持を受けての当選であった。

 都民ファーストの会としては、選挙時の公約を1つ1つ提案している。決して都民ファーストの会のオリジナル政策ではなく、他党でも、他の議会でも議論されてきたこと。ただし、その優先順位が違う。

 変わったのは、議会全体の空気。議会改革を望む都民の声が選挙結果に直結した。論争に終始し合意形成の努力を怠ってきた、という反省。最後に、政治家が本質的に持つ改革の意思が後押しした。

 この改革の空気をつくったのは、もちろん、都議会議員選挙だ。議会は、有権者の選択によって決まるのだ。

■議会改革は、次の段階へ

 議会改革の本丸は、「議会の質の改革」。

 政策立案能力を上げ、質問力を上げ、議員提案の条例が議論される。そんな議会をめざしたい。昨年、都民ファーストの会東京都議団と都議会公明党が共同提案した「子どもを受動喫煙から守る条例」の取り組みは好例だ。

 都議会の選挙区は中選挙区制が多く、その結果単独過半数を超えることは難しい。過去、自民党が全員当選(59人)した時ですら過半数には届かなかった。議員提出議案で確実な可決を目指すなら、共同提案が最も望ましい(否決覚悟で提案する場合もあるが…)。

 複数の会派が、1つの議案について共同提案する文化をつくりたい。各会派が条例案を出し合って一致点を見出す。その共同提案に至るプロセスを「見える化」することも課題だ。時間はかかるし、手間もかかるが、その取り組みは都議会を変え、都政全体を変えるのではないか。

 行政サイドも、議会の意思が明確なので、必要以上の議会対策を省いて、政策を練ることができる。議会と都知事部局が、両輪となって政策論争ができる。

 私は、6期23年の日野市議会の活動の中で、がんや空き家問題、子どもの貧困などの個別政策の超党派議員連盟に参加してきた。議員全員でがん対策の条例を提案可決したこともある。政党を超えて政策立案をするダイナミズムを体感してきた。

■違いを見つけるのは簡単、一致点を見つけるのは難しい

 「ふるい都議会をあたらしく」と訴え、都議会に送り出されてから1年。ふるい都議会とは何か、新しい議会とは何か、を考え続けてきた。

 ふるい都議会とは、違いを見つけることに終始し、合意形成をあきらめた議会ではないか。少数意見の留保を忘れ、数に頼る政治でいいのか。逆に少数の側は、時に無責任な正論に陥る可能性が無いか。

 あたらしい都議会は、意見の違いを前提として、一致点を見出す努力を惜しまない議会だ。議論が平行線となり、結論を出せない場合も想定されるが、そこは議事整理の分野。その時こそ、皆で選んだ議長や委員長が持つ議事整理の権限を十分に発揮するべき。

 都議会改革は、まだ緒についたばかりだ。

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東京都議会議員 菅原直志
1968年、岩手県生まれ。父の交通死のため「あしなが奨学金」で高校・大学と進学。私立文教大学卒業。サラリーマンの後、25歳で日野市議会議員に当選、以後6期連続当選。2017年、都議会議員選挙に「都民ファーストの会」公認で出馬し、当選した。
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