言論ドットコム編集部は今回、現役の国家公務員と共に【イマドキの公務員シリーズ】をスタートすることにしました。何かと話題になることが多い「国家公務員」制度について、なるべく平易な言葉で、わかりやすく、行政のあり方の議論の材料となるようなものをお伝えしていきたいと思います。第1回は、安倍晋三政権で中枢に位置しているともいわれる「経済産業省」などについて、現役官僚に記してもらいます。

■教科書的な「公務員」の説明
 
「公務員」とは何か?

 大別すれば、「国家公務員」と「地方公務員」に分かれます。前者は財務省や外務省などの「○○省」等に勤務する職員です。「地方公務員」は東京都庁とか神奈川県庁、千代田区や調布市などに勤務する職員です。
 
 国家公務員は、入口の試験の違いによって事務官・技官がわかれます。さらに、それぞれにおいて総合職(旧Ⅰ種)と一般職(旧Ⅱ種、Ⅲ種)という風に分かれます。いわゆる「官僚」と呼ばれるのは総合職のことを指します。

■霞が関という「戦場」

 「霞が関」のカルチャーとして、多くのことは「軍隊用語」に由来するような言葉で用いられます。その是非はおいて、わかりやすい意味でこのような表現を用いて説明します。

 政策づくりは「戦場」です。利害関係者や永田町との調整等を経て、政策は実行されます。「作戦本部」の偉い人たちは基本的には総合職が就きます(一般職での出世の限界は各省庁で異なり、省庁によっては課長級という不文律があります。)

 戦場の最前線を考えます。その戦場での指揮官には総合職が充てられ、兵隊としては一般職や自治体からの出向者が充てられます。そして、「前線」で戦う兵隊のために武器や食糧の調達を行うのも一般職の仕事です。

■霞が関における「階級」

 事務次官というのが役人の最高位のポストであるのは有名かもしれませんが、他のポストについても解説します。

 役職は、呼び名はいろいろありますが基本的には下記の通りです。

 係員―係長―課長補佐―室長or企画官―課長or参事官―部長or審議官―局長or統括官―事務次官

 省庁によって異なりますが、総合職の場合は1~3年目が係員。4~7年目が係長。8~20年目が課長補佐というのがざっくりした目安です。

 課長補佐も小さな「班長」の場合もあれば、課の「NO.2」たる総括補佐といわれる役職までさまざまですが、新米補佐、中堅補佐、ベテラン補佐、総括補佐と3-4段階程度ランクがあると考えていただければいいかと思います。

■ビジネスマン向けの着眼点

 読者の中には省庁とやりとりをする場合もあるかと思います。その時に役立つ着眼点をご紹介します。

 上記の通り、年齢と役職がだいたい見える昇進モデルになっているので、20代で係長であれば総合職、40代後半で課長補佐であれば一般職と見分けがつきます。また、課長補佐以降は同期の間で競争原理が働き、より大きな課や困難な案件を抱えている課の課長補佐はできる人だということがわかります。

 カウンターパートがその組織の中でどの程度の位置づけの人か知ることはビジネスを進めていくうえでも重要でしょう。「できる職員」は周りへの発信力もありますので、そういう職員を見定められるかは重要です。

 ここで1点、注意点があります。上記の年次の法則が適用されない省庁として「経済産業省」があります。経済産業省はビジネス界や業界団体との接点も多いせいか、「飛び級」して役職を与えています(給料は必ずしもそれにそのままついてこないですが。)
 
 一例としては、1年目4月は係員、研修を終えた1年目8月には係長、3年目8月には課長補佐というケースもあります。

 しかし、お気づきのとおり「3年目8月」というのは他省庁では係員級の経験値しかありません。課長補佐が来ると担当者としては大事にされていると思ってしまうかもしれませんが、相手の年齢や入省年次を見て、本当の課長補佐か「なんちゃって課長補佐」か見極めることをおすすめします。ちなみに、いったん課長補佐になった後に他省庁(内閣官房等)に係長級で出向することもあり、一見降格しているように見えるケースも生じます(笑)。

■国家公務員の仕事。政策づくりとは?

 政策とは何かと問われると一口には難しいかもしれませんが、1つの考え方として社会課題に対してのソリューションと見なすことができます。

 ソリューションの内訳としては、法律やその他法令を作成する、つまり社会全体のルール作りがあります。しかし、法令を作るだけでなくいわゆる補助金の類や、業界団体における自主取組みを促すなどの法令以外の方法もあります。

 国全体のルールを国家公務員が作り、地方公務員はこれがしっかり守られているか確認することやその地域独自の追加ルールを作るというのが仕事となります。

■読者に問いたい点

 国家公務員に関することは多岐にわたりますので1回目はこのぐらいにしたいと思いますが、読者の皆様におたずねしたい点を最後に記載させていただきます。

 政策づくり、つまり社会課題に対するソリューションの提供は社会起業家をはじめ、さまざまな主体が担うことができます。その意味で公務員制度全般はそれにあわせて変わっていく必要があるかと思います。他方で、それぞれの立場によってその対処の仕方は変わってきますが、往々にして十把一絡げに「公務員」となりがちです。そのためにも、なるべく正確なファクト情報をもとにいろいろ議論できれば幸いです。
 ではでは、このへんで。

The following two tabs change content below.
言論ドットコム編集部

言論ドットコム編集部

取材・編集経験の豊富な編集部員が森羅万象に切り込んでいきます。