■「もうなくなればいい」

 維新創業者の橋下徹氏は大阪府知事就任後、絶大な発信力を誇ってきた。ネット上には熱心な支持者も多く、「維新信者」といわれるコアなファンもいる。今回の維新内の「亀裂」にはこうした支持者の間でも賛否がわかれているが、「インターネット上の称賛でつけあがってるアホは切った方が良い。」などと足立氏の除名を求める声も飛び出している。

 ただ、足立氏は国会内外における過激な言動で人気を博してきた人物だけと思われがちだが、その政策づくりや人脈には他党からも定評がある。「身内に甘く、他人に厳しい」という政界の常識から離れ、身内であろうとも言うべきことは言う「正論」路線も保守系メディアから好評だ。

 しかし、保守系インターネット番組などに出演しては「安倍首相の『敵』に対して批判するばかりで生産性がない」「自民党に近い評論家と仲良くして、結局は自民党に入ろうとしているだけなのではないか」との声も党内にはある。

 こうした党内の「亀裂」があまり騒がれないのは、保守系の論客が幅をきかせる現在のメディア界において、維新は自民党よりも「右」「保守的」な存在としてカバーされているだけとの見方もある。「保守派のスター」として誕生した安倍晋三首相を批判したり、大阪以外で自民党と対立したりしなければ、「維新分裂か」などと批判されにくい、というわけだ。

 現在は民間人となっている橋下前大阪市長は、現在の国政維新をどう見ているのか。橋下氏は自ら著した「政権奪取論 強い野党の作り方」(朝日新書)の中で「維新とはベンチャー野党。創業とスタートアップには成功したけれど、国政政党としてさらに成長し、自民党と張り合える党になったかというと、失敗と言わざるを得ない」と厳しい。さらに9月22日の読売テレビ番組では「大阪維新の会は好きだけど、国政政党の方はクソ生意気な国会議員が多いので嫌い。もうなくなればいい」と発言した。

■支持率は1%以下が続く

 維新は、橋下氏の政界引退後はスタープレーヤーが不在のまま。「アニキ」「親分」と愛されている代表の松井一郎大阪府知事の発信は、ほとんど「ぶら下がり会見」だけだ。その辛口トークは変わらず「政界のご意見番」としての需要はあるものの、それ以外の面で維新がニュースで大きく報じられることは徐々になくなってきた。

 公式ホームページ(HP)に掲載されている「文書通信交通滞在費」の公開も、それが一般国民にどれだけ響いているかは疑わしい。また、政策立案能力を示すためとしてスタートした「目指せ法案100本提出」プロジェクトも「選挙区支部寄付禁止法案」や「政治資金使途制限法案」「議員歳費削減法案」「国会での自由討議復活法案」といった維新らしい法案を相次いで提出してきたが、その「実績」が国民に浸透しているかと言えば、答えは「NO」だろう。

 維新人気は、もはや限界なのだろうか。世論調査の精度に定評があるNHKの調査を見てみたい。

政党支持率は、

【2015年】おおさか維新の会
11月 1.1%
12月 1.8%

【2016年】
1月 1.9%
2月 1.6%
3月 1.0%
4月 1.4%
5月 1.3%
6月 1.2%
7月 2.5%
8月 2.2%
9月 1.9%
10月 1.1%
11月 1.7%
12月 1.3%
※9月から「おおさか維新の会」は、「日本維新の会」に変更

【2017年】
1月 1.6%
2月 1.4%
3月 1.6%
4月 1.1%
5月 1.3%
6月 1.2%
7月 1.2%
8月 0.5%
9月 1.1%
10月 1.3%
11月 1.1%
12月 1.5%

【2018年】
1月 1.0%
2月 1.1%
3月 1.2%
4月 0.8%
5月 0.7%
6月 0.7%
7月 0.8%
8月 0.9%
9月 0.3%
10月 0.5%

と、なっている。

 「古い政治を壊す。新しい政治を創る」をコンセプトにしている維新だが、政党支持率を見る限り、与党寄りの「野党」という曖昧な路線が限界に近づきつつあるようだ。

 政党の名前を借りて議員に当選したものの、自らが執行部や中心的メンバーに入れなかったり、自らの思い通りに党運営や政策がいかなかったり、政党支持率が下がったりすると、次の選挙を見据えて逃げるように離党し、姑息な「自己正当論」をふりかざして「KY」路線に突き進む議員が相次ぐ中で、維新はこうした状況をどのように打破するのか。

 明治維新150周年を迎えて、「維新」が終わるのは勘弁してもらいたい。

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言論ドットコム編集部

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