平成29(2017)年7月の都議選で都民の大きな付託を受け、都民ファーストの会は都議会における最大会派として都政に大きな責任を有する立場をいただいた。新人議員として、私も一年余り様々な活動を続けてきた。今回は、これまでの活動を振り返るとともに、今後、都民ファーストの会が目指すべき方向性について、これまでの活動を踏まえて私の考えをご説明したい。

 本稿の作成にあたっては、多くの都民、有識者、同僚議員等から有益な示唆をいただいた。ここに厚く御礼申し上げる。ただし、本稿中の見解は党や会派の公式な見解ではなく、個人的な見解である点はご理解いただきたい。

1.これまでの都民ファーストの会東京都議団の歩み

 都民ファーストの会が都議会で最大会派(127議席中で53議席)を占めたことで何が変わったのか。大きく変わった点の一つは、議員提案政策条例を含む議会改革であるが、この点についてはすでに、都民ファーストの会の菅原直志都議が別稿【https://gen-ron.com/archives/1016】で詳細に論じているので、そちらを参照されたい。

 また、都民ファーストの会は新しい試みとして、都議選時の公約の達成状況等を整理し公表しており、対外的にも評価されているが、その詳細は都民ファーストの会の尾島絋平都議が別稿【https://gen-ron.com/archives/1116】で詳細に論じているので、そちらを参照されたい。

 では、これら以外の変更点は何か。最大の点は、小池百合子知事の政策がスピーディーに進むようになった点である。東京都をはじめ、地方自治体の政策の大部分は、個別の取組にどの程度、お金を割り当てるかによって決まる。例えば、待機児童対策が重要と考えれば、保育所の整備等に大幅に予算を割り当てることでその実現を図ることになる。そして、個別の政策を金銭面から表現して合計したのが自治体の予算ということになるが、この予算の具体的中身を編成する権限は知事にある。

 もっとも、知事の編成した予算は、議会での議決がなければ成立しないため、知事は議会の意向にも配慮しながら予算を編成しなければならない。現在、小池知事と政策的に同じ方向性を持つ都民ファーストの会が都議会の最大会派を占めていることで、小池知事の編成した予算が円滑に議会の議決を得られることになり、その政策がスピーディーに進むことになったといえる。

 このように説明すると、都議会議員は、知事から提出された予算等を審議するだけで受け身ではないかとの指摘もあり得るところだが、これは、知事に予算編成権がある現状の地方自治の制度上、一面では事実であると考えている。都議会議員としては、知事の予算編成に反映される鋭い政策を日頃から磨き上げ、都議会等の様々な場で提言していくことが重要となる。

 特に、都民ファーストの会は都議会の最大会派であるので、その意見は知事・都庁にも重く受け止められており、この一年余りの間でも、特に以下の事項は都民ファーストの会が強く推し進めてきた功績と考えている。

<都民ファーストの会東京都議団が強く推進してきた施策>

世界基準の都市・東京
受動喫煙対策…議員提案による「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」と、罰則により実効性を確保した「東京都受動喫煙防止条例」の成立により、世界基準のスモークフリー都市の実現へ。

五輪憲章人権条例…性自認・性的指向、ヘイトスピーチといった国際的なスポーツ大会で問題となった人権課題を含め、あらゆる差別解消に向けた取組を加速し、人権尊重都市・東京の実現へ。

ダイバーシティ(多様性を認める都市)
待機児童対策…平成30(2018)年度は過去最大の待機児童対策予算を確保。最新の都内待機児童数は前年比3割減の5000人台に

東京都障害者差別解消条例…民間事業者の合理的配慮の提供の義務化や、相談・紛争解決の仕組みの整備など独自の取組を規定

就労支援策…就労弱者とされる方々について、一方的に支えられるのではなく共に支え合う社会へ転換するため、欧州の「ソーシャルファーム」の視点を取り入れた条例案の検討を開始。

旧こどもの城…ダイバーシティ施設としての活用方針の明確化

東京の未来を担う子どものための施策
児童虐待対策…都独自の条例を制定する方針が示され本格的に検討中。

性教育…時代に即した内容にするための「手引き」の改訂・モデル授業の実施

こどもの放課後支援…塾連携の学習支援「スタディ・アシスト事業」の開設

セーフシティ(安全な都市)
防災対策の推進…都内区市町村庁舎における非常用電源等の整備推進、小中学校体育館における空調設備の整備等

政治スタイルの刷新
議会改革…菅原都議の別稿ご参照

公約の進捗状況の公開…尾島都議の別稿ご参照

議員選出監査委員の強化…公認会計士・税理士の専門性の活用

 上記の事項について進捗の程度はそれぞれであり、個別の説明は別の機会に譲りたいが、総じてみると、都民ファーストの会が都議会最大会派となったこの一年間では、多様性を認め合い都民一人ひとりがその人らしく活躍できる環境を整備するという、ダイバーシティ関連の政策は大きく進展があったものと考えている。私個人としては引き続き、ダイバーシティ政策を推進するとともに、異なる視点、例えば、世界の都市間競争に打ち勝つための東京都の成長戦略等といった政策の推進も必要と感じている。

The following two tabs change content below.
東京都議会議員 山田ひろし
東京都議会議員(三鷹市選出)。都民ファーストの会東京都議団 政務調査会長代行。1984年生まれ。東京大学法学部卒・米国コロンビア大学ロースクール法学修士。弁護士・ニューヨーク州弁護士。