先日のこと、長島昭久衆議院議員がフィンランドへ出張に行かれました。その目的は「ネウボラ」の視察をすること。

 「ネウボラ」とは、妊娠期から小学校へ上がるまでの子どもと、その親を含む家族全体の健康と生活を守るため、かかりつけの保健師(助産師)が責任をもって切れ目のない支援につなげるフィンランドの制度です。

 長島議員はかねてからこの制度に注目されてきましたが、いよいよ自身の足で調査をしに行かれたわけです(私もお供したかった…!)

 その視察の成果を長島議員がまとめられているので、是非ご一読ください。目からウロコですよ!

衆議院議員・長島昭久「世界一子育てしやすい国フィンランドが示す「日本版ネウボラ」のポイント」

 私は幸運にも長島議員から直接この視察の成果について伺う機会がありました。本当に驚いたことがたくさんあったのですが、そのなかでも特に印象に残ったのはコレ:

フィンランドに「子育て政策か、高齢者福祉か?」の対立軸はない

 正直、最初は半信半疑でした。

 だって、日本だったら子育てに関わる政策に予算をつけて実行しようとすると、絶対に反対されますからね。
 それもそのハズで、行政の予算は全部使いみちがビチーっと決まっているので、新しく予算をつけるということは他のところから持ってくるということ。

 そして、もっとも多く行政が予算を使っていることのひとつが高齢者福祉なわけで、そこを削るっていうとそこから利益を享受されている方々から反対の大合唱が起きます。

 でも、これって普通なことだと思っていたんです。だって、自分に不利益なことが起こるなら反対するのが人情ってものでしょ。

■リアリズムに基づく立国の理念

 でも、フィンランドではそうではないという。

そのわけは、長島議員のブログの中にあるのでちょっと長いですが引用させて頂きます。

このような一見「財源度外視」とも思える手厚い子育て支援を可能にしているのは、「良き納税者を育てよう」とのフィンランド社会の根底を流れる立国の哲学なのです。すなわち、ネウボラの制度目的である「早期発見・早期支援」の背景にある考え方は、子ども達の成育上の課題を早期に発見し、早期に治療・対処すれば、将来(特別な福祉や医療などを通じて)税金を使う側ではなく、健全な納税者をより多く育てることができる、というリアリズムに基づく「立国の理念」があるのです。

……これは、つまり、

「子どもに投資をするから高齢者福祉の予算が減る」ではなく

「子どもに投資して頑張って働いてもらい、高齢者福祉も充実させてもらおう」ということか

…!!!?

 な、な、なんて身も蓋もない現実的な理由…!!!

 徹底した子どもへの投資をフィンランドが実践するのは、子どもを社会がケアするのは基本的人権がうんぬん、とか、子どもの貧困なんてかわいそうだとか、そういうエモーショナルな話ではなく、社会を発展させるための極めて現実的な施策ってことですね。

 驚いたけれど、言われてみれば筋が通っている…

 例えば、会社でも、新卒が入ってきていきなり仕事を任せても使い物にならないわけで、彼/彼女らにしっかり売上をあげてもらおうと思ったら教育に投資することは必須です。

 それを怠ってしまうと、短期的には会社の経費はかからないかもしれないけど中長期的にはきっと成長が止まってしまいますよね。

 きっと、社会全体でも同じなのではないでしょうか。

■子どもへの投資が本質的な再興戦略

 わたしはこの長島議員のネウボラ視察の話を聞いて、ひとつ確信できたことがあります。

それは、子どもへの投資こそがもっとも本質的な「日本再興戦略」であるということです。

 児童虐待や、待機児童問題、働き方改革、女性の社会進出… こういった女性・子どもにまつわる社会問題って先駆者のみなさまの血の滲むような努力で最近になってようやく世間で取り上げられ始めたけど、日本での扱いってまだまだ傍流というか、「個々人が努力して頑張ってね☆」的だなと感じます。

 そんなことよりも経済成長とかのほうが国家の一大事!っていう雰囲気ありません?

 でも、これは本当に極論なんですけど、

例えば、日経平均株価をあげても出生率をあげないことには、意味なくないですか?

 だって、少子化がこのまま進むと経済どころか、日本社会が消滅しちゃうってことなんだから。

もちろん、経済成長は超重要だと思いますよ。

 でもそれって、「持続的な社会」を実現させるために経済成長が必要なんであって、逆はないですよね。そして子どもがいなくなったら社会は持続できません。

 子どもに対する投資の回収は時間がかかるかもしれないし、最初はイタいかもしれない。

 それでも、子どもを生みたいと希望する人がなんの不安もなく産めて、どんな状況でも安心して育てられる環境ができれば、しっかりと社会を支えてくれる頼もしい納税者が増えていきます。

※2015年時点では、日本の夫婦の理想の子どもの数は平均2.32人です(参照:国立社会保障・人口問題研究所)。つまり、社会的・経済的な障害がなければ出生率はもっとあがることになります。なお、フィンランドの出生率は1.71と日本の1.42に比べて高い水準を維持しています。

 国内市場も拡大しますよね。中長期的にみたらこれほど本質的な経済成長戦略もないでしょう。

 それでますます税収が増えて、結果的には高齢者福祉も充実していくのではないでしょうか(っていうか、納税者を増やしていかないと現在の高齢者福祉の水準を維持するのは間違いなく不可能です)。

 なお、これは実現不可能な理想論などではありません。

 実際に日本で実現している自治体もあるんです。その代表的な自治体のひとつが兵庫県明石市です。

■日本にできない理由はない
 
 「少子化はもう止まらない。それを前提としてどうするか考えるべきだ」的な文章を色々なところで目にします。なんか世間では「常識」っぽくなってます。

 でも、いつも思ってました。それって本当かと。

 だって、少子化を食い止めるためにやれることを全部やりきる前からどうしてそんなことが言えるのでしょうか。

 女性の社会進出は他の先進国と比較して全然進んでいないし、男性の家庭進出なんて目も当てられない。子どもを授かっても働きながら育児をするにはまだまだ過酷な環境で、心をすり減らして虐待に走ってしまう人もいる…

 やらなきゃならんこと、逆にいえばやれることが目の前にまさに山積してるじゃないですか。

 ネウボラにしても、フィンランドではできて日本ではできない理由って、なにかありましたっけ?

 少子化はどうせ止まらない… そういうことを言うのは全部やりきってからにしませんか。

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認定NPO法人フローレンス 前田晃平

認定NPO法人フローレンス 前田晃平

認定NPO法人フローレンスで採用マーケティング担当。前職はリクルートで教育機関の広報支援と新規事業開発。慶応大総合政策学部中退。