1.量的緩和を止める時
 
 量的緩和は、流通貨幣量を増やして経済を活性化させる。このため、不景気時に量的緩和をすることは非常に良いことであるが、景気回復時にはどこかで縮小しないと、ゼロ金利の資金が増えてしまい、インフレになるので、インフレが起きた時点で量的緩和を止める必要がある。

 これが正常時での量的緩和を止める方法であるが、日本経済は人口減少で、経済規模が縮小化しているので、いつまで経っても、景気が回復せずインフレが起きていない。

 経済活性化で経済縮小を相殺しているからであり、この状態で景気後退局面を迎えると、今の日本は内需より外需で経済を維持していて、その外需が世界経済の落ち込みにより減り、輸入は石油など生活必需品が多いので減らずに、経常収支が赤字になり、一層の円安が起きて、海外からの輸入物価が上昇し悪性インフレになる可能性がある。

 インフレになるので、悪性インフレでも量的緩和を止めることが必要になる。ここで、量的緩和を継続すると、円安が進みインフレが益々大きくなり、ハイ・インフレとなり、景気後退で賃金は増えずに物価上昇で国民生活が苦しくなる。特に、年金生活者などインフレに弱い層の生活に大きな影響が出る。

 今の局面は、景気ピークに差し掛かり、今後景気後退期になる可能性がでて、かつ、中東紛争などで石油の価格上昇が起きる可能性があり、今後、悪性インフレになる可能性が出ている。

 目先の景気維持に捕らわれると、景気後退期に後悔することになる。

2.景気後退期の金融財政政策

 この時期には、徐々に量的緩和を縮小して、貨幣量を拡大しないようにする必要がある。それと、国債発行量も徐々に落としていく必要になっている。

 10年国債の金利は、量的緩和を止めると、買い手が少ないと上がり、国債発行量が多いと上がるので、国債発行量が増えると、景気後退期なのに長期金利が上昇して、景気後退を深めてしなうことになる。これはスタグフレーションであり、これになると、有効な金融政策の手立てがない。

 日銀が決められるのは短期金利であり、その金利をゼロにしても長期金利が上がると、借り手は返せなくなるので借りない。このため、経済活動は停滞してしまうからである。

3.歳出予算の見直し

 このため、歳出予算の必要性で財政の見直しをすることが重要である。予算が拡大しているが、その拡大のほとんどが社会保障関係の予算であり、その他の予算は削減されている。歳出予算の見直しで、国債発行量の削減ができる。

 社会保障費の拡大は、国民年金と国民保険の補助が大きく拡大しているからであり、この拡大を抑えないと、今後も赤字国債の発行量が増えていくことになる。

 70歳まで会社に雇用継続を維持させるなどの政策を取るのは、財政規模の拡大を抑えることに対して意味がある。このような施策を実行して財政規模を縮小することが重要だ。

4.消費税増税延期でするべきこと

 景気に影響がある消費税の増税を先送りにしても、まずは、財政支出の見直しをまず実行するべき時が来たように感じる。

 アベノミクスの金融政策がうまくいったのは、世界景気が上昇していたからであり、世界景気が下降したら、金融政策を逆転させる必要になり、今は、その準備をする時期にきている。

 このため、FRBもECBも量的緩和を中止して、利上げを開始している。日銀も準備しないと景気後退期に日本経済は、大きな落ち込むことになる。

 さあ、どうなりますか?

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日本国際戦略問題研究所長 津田慶治

日本国際戦略問題研究所長 津田慶治

1975年、東工大制御工学科卒。日本電信電話公社に入社し、つくば博覧会協会で街づくりを経験。通信研究所で人工知能など最先端のコンピューター技術の開発、IBMで米国企業文化に触れる。NTTデータで省エネ技術や米国、中国、インドなどでソフト開発を行い、カントリーリスクから国際問題を研究した。その後同研究所主宰。 1999年から「国際戦略コラム」を主催。国際関係や日本文化を論理的な視点で冷静に評論中。有料メルマガは、まぐまぐ大賞の経済政治分野で2位。
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