2019年、中国・北京で初の「スイーツ博」が開催された。

 テーマは「No Suger No Meeting」。会場には、中国の伝統的菓子から新たな発想をとりこんだ個性派スイーツまで、ところ狭しとブースが並んだ。

 中国には元々、「点心」といわれる中華菓子が根付いている。練った小麦粉を揚げたり、焼いたりしたシンプルな味の中華菓子は、日常のおやつとして、また縁起物として春節や中秋節などの際の贈り物に重宝されている。

 少ないながらも、ケーキなどの洋菓子も存在し、誕生日や結婚式などの祝いの席ではホールケーキが登場することも少なくはなかった。

 しかし、それらはあくまで「お祝いの演出」の1つにすぎず、美味という観点からは程遠い。10年前には、日本好きの中国人の友人に「日本の良いところは、ケーキのスポンジとクリームの質が最高なところ」と熱弁された記憶がある。

 中国の「美味しいスイーツ」に対する熱は格段に上昇してきている。だが、それでも日本の熱とは一線を画すものだ。

 中国市場に出回るのは、主に大手フードメーカーや企業が手がけるスイーツであり、パティシエのこだわりから生まれてくるような洋菓子は影を潜めているのが現実である。

 同じ中華圏でも、ヨーロッパ文化が入りやすい香港やマカオに比べて、大陸はまだまだ浸透していない。また、脂っこいクリームが「健康に悪い」とのイメージから敬遠されたことも原因の1つかもしれない。

 中国では「3時のおやつ」「アフタヌーンティ」という概念も基本的には存在しないまま今にいたる。

 記念日などにホールケーキを囲う「イベントとしてのケーキ」という以外に、午後にお茶を飲んで洋菓子を食べるという概念も希薄である。

 そんな「スイーツ文化」が根付いていない大陸において、風穴をあける存在となったのが「奶茶:ミルクティー」と「水果茶:フルーツティー」であった。

スイーツティーブームとはいかなるものか

 香港スタイルのスイーツ「タピオカミルクティー」の流行は、日本の常識を逸する。なんと北京随一のファッションエリア「三里屯」だけでも 1キロメートル内でスイーツティーショップが25軒以上もある。

 台湾・香港で古くからあったミルクティー文化は、最近のブーム以前から大陸へ入っており、「CoCo都可」「HappyLemon」などフランチャイズ展開をするブランドも存在した。ただ、あくまで1ジューススタンドの域を出ず、ブームとなり得るほどのうねりを生むには至らなかった。

 そんな中で、大陸に入ってきた台湾ブランド「一点点」が革命を起こす。新鮮な茶葉を使用しているため、作ってから「1時間以内に飲んでください」というコンセプトが好評で、「体に良くて、美味しいミルクティー」という健康的な要素を強調した新たな切り口での「スイーツドリンク」が爆発的にヒット。20代の若者達の心をつかんでいった。

 今もなお、どんどん増え続ける業態で人気店に共通するポイントを整理してみよう。

《ポイント》
・ブランド価値をアピールする北欧風、日系などの店舗内装

・フルーツティーのメニューを置いている

・デザート需要だけでなく、コーヒー同様に社交のニーズで使われている

・新鮮さを売り出すため、「〇時間以内」という期限が設けられている

 これまで、よりコンパクトで低コストを目的に展開してきた既存のフランチャイズに比べ、より丁寧で、安全、そして、おしゃれである、というポイントが押し出されているのがヒットの要因のように思う。

 その代表的なブランドには、緑茶かき氷とジューシーな果肉のバランスが絶妙な「喜茶 HEY TEA」、黒糖を用いたドリンクが人気の「黑泷太郎」、タピオカミルクティーブームの立役者といわれる「一点点」などがある。

 窒素ガスでフワフワした新しい食感が評判の「椿予の窒素茶」や、タピオカミルクティーを食べているような感覚を楽しめる「Coops自然醒のタピオカミルクティーケーキ」などは、SNS上でも人気だ。

 中国は今後スイーツ市場がどんどん成長していくと見込まれている。ようやく国内スイーツが中国人の日常に少しずつ形を変えて浸透しはじめているようだ。

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ブランドPRプランナー兼美容家 柳瀬真弓

ブランドPRプランナー兼美容家 柳瀬真弓

Reflections generaloffice代表取締役、北京当代行云文化传媒有限公司代表。中国在住13年。中国の業界最前線で培った人脈とコミュニケーション力で「旬」を捉え、響く女性目線のアジアプロモーションを数多く手がける。中国の著名人、業界人の顧客を抱える美容中医師としても活躍。現地の先端ニーズを的確に捉えるため、北京・上海に自社プレスルームを構える。