多くの問題点が指摘されている外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法改正案が11月13日、衆議院で審議入りした。政府・与党は今月中の衆議院通過を図って参議院で可決・成立させ、来年4月の導入を目指している。この法案をめぐり、最も頭を悩ませているのは、安倍晋三首相を支持してきた保守派の面々だろう。

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 日本で働く外国人労働者はすでに約127万人(2017年10月末時点)に上り、5年前に比べ2倍近くに膨れ上がっているが、安倍首相はさらに今後5年間で最大34万人の受け入れを見込んでいる。「これは『移民政策』ではない」という強弁も散見されるが、1997年の国連統計委員会への国連事務総長報告書によれば、「移民」の一般的定義は「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12カ月間当該国に居住する人のこと」とされている。

 先の日米通商交渉で「これは日米FTA(自由貿易協定)ではない。TAG(物品貿易協定)だ」と新たな言葉が飛び出してきたように、たとえ安倍首相がこれまで「移民政策はとらない」との国会答弁を繰り返してきたからとはいえ、外国人労働者の受け入れ拡大を「移民ではない」と言い繕う姿勢に落胆する人々も少なくない。

 とはいえ、衆議院と参議院で与党が圧倒的多数を占める現在の国会においては、よほどのことがない限り改正案は可決・成立し、来年4月以降、街中には外国人が増加していく。昨年1年間で7000人あまりの外国人技能実習生が失踪している現状も踏まえ、いかに労働力不足や外国人との共生に対応していくべきか。「移民」は「移民」と認めた上で、そうした中身についてしっかりと議論し、外国人の在留管理や日本人の雇用・所得面などの課題をクリアしていく必要があるのではないか。

 「安倍首相が言うから『移民政策』ではない」という人はさておき、安倍首相を支持してきた保守層の方々にこそ、これからの日本人のために今回の大改正について、

①「安倍首相が進めるから内容はともかく賛成するのか」

②「そもそも、この改正案自体に賛成なのか」

③「仮に現在の野党が同じ内容の改正案を出しても賛成なのか」

④「たとえ安倍首相が進めると言っても、改正案には反対なのか」

という点について、後講釈ではなく、事前に広く発信してもらいたいところである。

 今回の改正案の問題点を踏まえて、揚げ足取りではなく、本質的議論に入ったのは11月15日の衆議院総務委員会だろう。そこで与党内からも好評だったのは意外にも「切り込み隊長」とも「暴走王」ともいわれる、あの男だった。

《2 「復帰した『あの男』が投げかけた本質的議論」に続く》

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言論ドットコム編集部

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