その男とは、他党議員への厳しい批判などで懲罰動議を6回出され、今年2月から「謹慎中」だった日本維新の会の足立康史衆議院議員である。10月30日の国会議員団役員会でようやく国会質問に立つことが認められ、11月15日、衆議院総務委員会での質問に臨んだ。

 9カ月ぶりに「国会」に姿を現した足立氏は、25分間の所要時間の中で「新4K/8K衛星放送」に関する質疑に加え、今回の入管法改正案の本質的部分に迫っていった。長くなるが、同日の衆議院総務委員会の模様を書き起こしたので見てもらいたい。

足立氏
「今、入管法の議論が始まっています。私は、外国人の在留管理が適切・厳格に行われていない現状を踏まえると、マイナンバーカード、外国人労働者の在留管理ですね、特に、その本人確認にマイナンバーカードを利用すべき、もうちょっと言えば、マイナンバーカード、今、十何%しか使われていないマイナンバーカードを本人確認用に使うことを義務付けるべきだと思いますが、これは、まずは法務省かな」

法務省
「お答えいたします。マイナンバーカードは行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定によりまして、住民基本台帳に記録されている方に対して、本人の申請により交付されるものであり、外国人である場合でも同様であると承知しています。その活用の可能性という御下問かと思いますけども、現在当局におきましては中長期在留者に対して在留カードを交付しています。在留カードには在留資格等について常に最新の情報が記載されます上、券面には就労制限の有無や資格外活動の許可を受けている時にはその旨の記載がされるため、事業主さん等が在留カードを見ただけで当該外国人が就労可能な在留資格を有しているかどうかということが容易に判断できます。これらの情報が券面に表記されていないマイナンバーカードでは、いま申し上げたような形での在留状況を確認することが難しいと思います。一方で、いま委員御指摘のようにマイナンバーカードを在留管理上活用しえる場面ということも想定されるかと思いますので、今後マイナンバーカードとそれから私どもの在留カードとの関係等につきまして、マイナンバーカード所管の総務省の御示唆もいただきながら検討することになろうかと思います」

足立氏
「まさに大臣がマイナンバーカードを一生懸命やっているわけです。いま法務省は理由を色々と言われました。例えば、在留カードの券面にはいろいろと書いてあるから、それを見たら分かるようにしておきたいからマイナンバーカードではダメで、在留カードなんだというけどね、そんなことをいったら全部そうですよ。健康保険証だってそうですよ。でも健康保険証はこれから健康保険証の使いまわしが多いということで、厚生労働省、総務省が連携して、内閣府も連携して、今度私も一緒にやっている林芳正先生とか、それから平井卓也大臣とか、もう閣内に入られましたけども、甘利明先生とか、様々な先生方と一緒に社会全体におけるデジタル化の推進に関する法律案というものをいま準備しています、議員立法で。そこにはマイナンバーカードの健康保険証としての活用、本人確認用途としての活用を明記してあります。これ、まだ通っていませんけど。でも準備進めています。今のような入管局の生ぬるい議論を許していたら、総務大臣、これ仕事してないことになりますよ。しっかりと今日ね、大臣の方から入管局にまじめに検討させると、来週の週明けの入管法改正案の採決までにしっかりと総務省と入管局で議論して、そしてこの在留している外国人の在留管理、これにマイナンバーカードを本人確認用としてしっかり使う、それくらい、これだけの大法律を法務委員会でやっているんですよ。大臣、お願いします」

石田真敏総務相
「総務省としましては、内閣官房とともに、各府省等が所管する各種カード類につきまして、対面やオンラインでの本人確認機能を持つマイナンバーカードへ一元化するよう検討を依頼しているところございます。在留カードとしてマイナンバーカードを利用することについては今、答弁ありましたけども、まずは所管官庁である法務省で制度面、運用面での課題を含め検討していただく必要があるかと思いますが、マイナンバー担当大臣としてですね、やはり普及促進を図るという立場から適切に相談等に応じてまいりたいと思っています」

足立氏
「大臣ね、その相談に応じるじゃなくて、入管法、ちゃんと仕上げたいんじゃないんですか。内閣として。安倍内閣として外国人労働者の受け入れ拡大していくんでしょ?いま外国人の在留管理がうまくいっていないことはみんな分かっているわけなんですよ。そのために新しくできる在留管理庁にしかるべきツールを与えてあげないといけませんよね。せっかく政府一丸となってマイナンバーカード、番号制度をつくったわけなんだから。これから日本に入ってくる外国人の方についてはあまねくマイナンバーカードを保有していただいて、本人確認に使う。そして将来的には健康保険証にもなるわけだから。医療機関でも使える。利便性にも資するんですよ、別に管理を強化するだけじゃない。外国人労働者は便利になるんですよ。そして場合によっては銀行口座も全部集めてね、不正な送金をできなくすればいいんですよ。そこまでは今日はあまり言うと内閣府が嫌がるのでやめておきますが、少なくとも本人確認というレベルで言えばね、これからだって入管法、来週仕上がるんでしょ。議院内閣制だから放っておいたって仕上がりますよ。なんか野党がしょうもない情報出せとか、あっ、すいません。そういうね、僕たちがいま議論すべきかことはどうやって在留管理するかですよ。だってできていないんだから、今。大臣、その入管局の相談に乗るではなくて、来週の採決までにマイナンバー担当大臣として法務大臣、山下大臣としてちゃんと協議するといってください」

石田総務相
「議員御指摘の点につきましては、私自身もこのマイナンバーカードというのはこれからのデジタル社会の中で不可欠なものだと考えております。ただ、法務省の方から先ほど課題等についてのご説明がありました。そういう検討をしっかりと進めていただきたいと思っておりまして、先程議員がご紹介いただいたように2020年、健康保険証も利用するということで今現在、厚生労働省、総務省、内閣官房、協力して検討を進めているところでございまして、引き続きですね、一刻も早く関係各府省と協力して各種カード類のマイナンバーカードへの一元化を含め、利便性の向上にしっかり取り組んでいきたいと思っております」

足立氏
「結局、御答弁いただけないんですが、自民党の先生方も聞いていただいてね、これ、やるべきだと思いません?だって、やらない理由がないんだから。やらない理由がどこにもない。そして、入管法については大改正ですよ。外国人が何万人、何十万人と入ってくる。その中で国民が不安に感じている。ツールがあるんだから。そのツールをなぜ使わないのか。ちょっと、どうしたいいかな。ちょっと副大臣の中で俺がやったるという人はいませんか。ちょっと手を挙げてください。そういっても困るか」

石田総務相
「足立議員の御指摘もよくわかるわけでございまして、先ほど答弁があったように法務省の方でもこの点については鋭意検討していただいていると思いますので、我々も一刻も早くマイナンバーカードの一元化、色々な面での一元化、利便性向上にしっかりと取り組んでいきたいと思っています」

足立氏
「(法務省の)佐々木審議官ね、来週採決があると思います。それまでに早い段階でちゃんと大臣に相談すると言ってください」

法務省
「先ほど申しましたように私どもの在留カードとそれからマイナンバーカードそれぞれの現時点での目的、それから機能につきまして整理をする必要があると考えています。入管法との関係においてということにつきまして、いま私の立場でお約束申し上げられません」

足立氏
「できないんだったら、あれですよ、審議官、それなら合同審査をしなくてはなりませんよ。両方の大臣に座ってもらってやらなくてはいけませんよね。いいんですか、それで。大臣ね、だからね、役人だからしょうがないですよ。大臣、単に法務省が相談してきたら相談に乗るよじゃなくて、大臣からちょっと検討しろ、と。いや結論はいいですよ、結論は。でも少なくともね、いや僕はあきれているんですよ。実はこの質問をするにあたって入管局の担当者を呼びました。(立憲民主党の)蓮舫さんみたいに担当者の問い合わせは受けないとかそういうことはしません。2日前に通告して、みっちりやりましたよ。法務省の担当者はマイナンバーカードのことをまったく理解していなかった。知らないんですよ、縦割りで。縦割りで。それをしっかり連携させるのが政治家の役割でしょ。大臣、ちょっと御決意をお願い致します」

石田総務相
「先程来申し上げていますように、マイナンバーカードですね、これからのデジタル社会の中では不可欠ですから、一刻も早く様々なカードの一元化というのを図って、利便性を高めていきたいという思いはまったく変わりがないわけですけども、やはり従来からのいろいろな制度の中で準備ということが先程の法務省の方からの答弁がありました。そういうことを念頭におきながら、一刻も早くそういう準備を整えていただく中でしっかりと対応してまいりたいと考えております」

足立氏
「いやいや、だから準備が整っていないんだったら入管法の採決したらあかんじゃないですか。ねえ、与党の先生方。皆さんも私の議論を聞いていたらそう思うでしょ。いや、僕は入管法の採決やるなと言っているんじゃないんです。他の野党みたいにそういうことを言いません。今国会で仕上げるなとも言いません。でも、やることはやろうよと。ねえ、小林先生。ちょっと、もうあと1,2分ですが。どうしようかな、このまま終われないですよね」

内閣官房
「マイナンバーカードはご承知の通りICチップに本人を確認する機能がありますので、これを使いますと色々なカードと連携がとれると。一方で法務省が言っているのは券面に書いている、それがマイナンバーカードの券面に書かれるではないかと。ただ、この話は先生が仰っている通り、あらゆるカードに起こりうることです。ただ、すべての物事がIT化されれば、そもそも紙で書いてある必要がまったくなくなる。かつ、スマホもあります通り、スマホも10年前にはなかったわけですから。10年後にはすぐもういろいろなことが起きるわけですから、そういうことを見通してマイナンバーカード、あるいはデジタルガバメントを推進整備する必要があると思っておりまして、内閣官房、内閣府といたしましてもそういう方向にもっていきたいと、その一環としてカードの一元化も取り組んでまいりたいと思っております」

足立氏
「まさにいま向井審議官が言った通りですよ。そんなもの、券面、カードのなんかに書いてあるものがすぐ見えないといけないとか、そんないつの時代の話をしているのか。そんなものスマホにかざしたらすぐ見えますよ、それがマイナンバーカードなんです。いつの時代の話を入管局はしているのか。いま入管局がいまやっているポジションはまさに石田大臣の仕事を邪魔しているんですよ。石田大臣がマイナンバーカードを普及させていこう、一元化していこうというものにたてついているんですよ。僕は、マイナンバー担当大臣として恥ずかしいと思います。最後に一言、まあないと思いますが、ないですね、じゃあやめておきますが、来週の採決に向けて、日本維新の会としてここはこだわっていくと、これ、ちゃんと石田大臣がリーダーシップをとってくださらなければ維新の会は到底賛成できないということを申し上げて質問を終わります。ありがとうございます。」

 国家の根幹部分を転換するであろう改正案にも関わらず、細部の詰めがなされず「見切り発車」の感が強い政府・与党。こうした改正案の問題点に対しては、与党であろうが、野党であろうが、保守派であろうが、リベラル派であろうが関係なく、「誰々がこう言っている」というのでもなく、それぞれが自分自身の問題意識とともに判断して行動していくべきだろう。その上で、与党が圧倒的多数を占め、改正案の可決・成立が間違いないという現実を踏まえ、国会においては、来年4月以降に問題が続出していかないための処方箋を描く議論を期待したい。

 その本質に触れた質疑をした足立氏に対しては、ある自民党閣僚経験者から「これまでの議論で一番まともなことを言うなあ」との声も聞かれた。理想と現実のバランスをいかにとるか日々頭を抱えるのが政治家なのかもしれないが、今回の改正案をめぐる国会質疑は日本の歴史に残る。一人一人の国会議員は「国民の代弁者」としての立場を改めて認識して行動し、こうした大舞台から「逃げない議論」を促したい。

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