政府が目指す外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法改正案は、11月27日にも衆議院を通過する。国会では超党派の勉強会が開催されるなど、国家の根幹部分に触れる大転換を前に慌ただしさを増しているが、ワイドショーで取り上げられるのは相変わらず閣僚の「政治とカネ」や失言問題が多く、国民の不安は払拭できてはいない。

 そうした中、言論ドットコム編集部は、国会における「代表者」に注目。改正案に対する国民の素朴な疑問点や不安が「代表者」に届き、それらを政府サイドがどのように受け止めているのかをウォッチしていくことにした。今回の舞台は、11月16日の衆議院法務委員会である。今回、問題点が多い改正案について国民が知りたい点を質問してくれたのは、日本維新の会の串田誠一衆議院議員だ。法務委員会の質疑を書き起こしたので、ご覧いただきたい。

串田誠一衆議院議員
「日本維新の会も人手不足でございます。入管法改正なんですが、ズバリこれは移民政策なんでしょうか

山下貴司法相
「これにつきまして、結論から申し上げますと、国際的に移民を定義づけているものはございません。申し上げたいのは、移民という言葉は現行法令上の法令用語としては用いられておらず、様々なところで、様々な文脈で用いられている多義的な用語ということでございます。国連においても、あるいは、例えばOECDにおいても様々な定義がございまして、OECDは国連の定義に関して、長期居留者については広く受けいれられているものではなくて適用は困難などといっているところでございます。そうした中で、いま私どもが、このいわゆる移民政策を採るものではないと申しますのは、やはり国民が懸念するようなもの、そういったものを採らないということでございまして、例えば国民の人口に比して一定程度のスケールの外国人およびその家族を期限なく受け入れることによって国家を維持していこうという政策は採ることは考えておりませんし、また従前、谷垣禎一法務大臣、当時でございますが、我が国の入国管理制度は我が国で永住を希望される外国人がおられるけども、最初から入国と同時に永住を許可するというような制度にはなっていないという風に説明しているところでございます。そして、私なりにリフレーズさせていただければ、例えば『外国人を期限を設けることなく、何らかの資格活動を行うことを前提とせずに、家族の帯同を認めた上で、一定程度の規模を受け入れることによって、国家を維持していく』というのが国民が懸念する移民政策といえるのではないかと考えているものでございます。先程来、議論がありますように、今回の制度改正は深刻な人手不足に対応するために現行の専門的・技術的分野における外国人材の受け入れ制度を拡充して、真に必要な分野に限り、期限を付して一定の専門性技能を有し、即戦力となる外国人材がその能力を持って日本で資格活動をしていただくことを前提に受け入れるというものでございまして、先程申し上げた政策とは明確に異なるというものでございます」

串田氏
「大臣のご説明もいただきました。確かに国際的なはっきりした定義はないといわれております。一方で、1997年でしょうか、国連の統計委員会で報告されたのは、少なくとも12カ月、他国で居住している人、そういったものを受け入れるものが移民ということであるならば、国連に加盟している国の方々、あるいは世界的に見た段階で、この定義をここの入管法改正に当てはめると、日本も移民を採り入れ始めたのだなという風に理解されると思うんですけども、どうでしょうか。要するに、我が国では定義を勝手につくってですよ、勝手につくって、いや、その定義には入らないから移民じゃないんだといっても説得力ないと思うんですけど、国際的に利用されている定義がある以上、利用されている言葉がある以上は、国際的に見たらどうだというのは違うと思うんです。この点どうでしょうか」

山下法相
「まず事実確認、事実、ファクトを申し上げますと、国連のホームページのサイトにも記載されていますが、国際移民の正式な法的定義はございませんと国連自身が申しているところでございます。国連が定義しているのは、移民ではなくて居住でございます。例えばですね、国連の英語で申し上げますと、マイグラントという言葉を使っています。米国などで移民を意味する言葉はイミグラントということで、イミグラントについては例えば米国のIRSは、永住権を有するレジデントという風に定義していますが、マイグラントという言葉はまた別でございます。国連においてはショートタイムマイグラントとロングタイムマイグラント、要するに短いマイグラントと、これは短期移住ですね、長期的移住、ロングタイムマイグラントという風にしておりますが、ショートタイムにつきましては3カ月以上、ロングタイムにつきましては12カ月としておりますが、これらは例えば我が国の入管法においては3カ月以上の在留者のことを中長期在留者と概念しておりますが、それと近いものではないかと考えております。実際、先程ご紹介したように、OECDにおきましてはこの国連におけるロングタイムマイグラントというのは広く受け入れられているものではなく、適用は困難であるという風にOECDも言っているところでございます。そうした中でですね、国連の定義は一義的ではないというところから私がご説明したような中身を申し上げているところでございます」

串田氏
「大臣も永住権というのを1つの基準とされていると思うんですが、イミグラントになるかどうかということなんですけど、(特定技能)1号を5年間、その後、熟練したら2号になるということなんですが、この熟練というのはおそらく実技になるんだと思うんですよ。これは各業界で決めるテストのようなんですけども、相当程度のレベルで1号になられた人が5年間その仕事についたならば、熟練という風にいわれてしまうんじゃないですかと、熟練ということになれば2号になって、そして、今の永住権のガイドラインからすれば仕事を5年やっていて、10年間日本に居住することによって永住権を取得できる。そうだとすると、1号で5年間、そして熟練となって2号、そしてもうその2号が5年間あれば、10年間ですから、その時点で永住権を取得できるわけです。ですから、マイグラントとイミグラントは違うといっても、結局は永住権を取得できるという点では移民ではないでしょうか、大臣」

法務省
「ただいま永住の関係についてご質問がございました。まずその前提といたしまして、特定技能1号、2号につきまして、特定技能1号で暮らしているうちに熟練したら、そのまま特定技能2号になるのではないかというような御趣旨の御発言がございましたが、特定技能2号になるためには熟練した技能になるかどうかという試験等によって熟練した技能が確かめられたもの、これが特定技能2号になるということでございまして、そのハードルといいますのは単に特定技能1号で5年を経過したら、ただちに特定技能2号になるというものではなく、かなりハードルの高いものと考えているところでございます。これが、まず第1点でございます。次に永住の関係でございますが、永住につきましては、出入国管理法におきまして、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること、法務大臣がその者の永住が日本国の利益に合致すると認めること、こういう3つの要件を課しておりまして、この要件に合致するかどうかという判断をするわけでございます。その国益要件につきまして、ただいま御指摘のございましたような就労期間、居住期間がガイドラインで定められているところでございますけども、これは永住を認めるための1つのガイドラインでございまして、5年、10年住めばただちに永住が認められると、こういうようなものではないという立て付けになっているということでございます」

山下法相
「ただいま局長が答弁した通りでございます」

串田氏
「今、局長の回答でも永住権、3つの要件をおっしゃられましたけども、今の要件というのは1号を経過していれば、大体該当するんだと思いますよ。そして、熟練というのは高度といいながら、相当程度で入られて5年その職業につかれていて、そして高度だといっても熟練というものの内容が非常に曖昧な中で、5年たてば熟練ともいえるよねと国民が思うのも、これも不自然な理解ではないと思うんです。ですから、そういう意味では1号が経過すれば2号になるという人が相当増えるんだなという風な危惧というのが絶対出てくる思うし、現在、5業種ですか、14の中で5業種といいましたけども、それがいくつになるかということもはっきりしていないわけですから、結果的には増えていくんではないかという不安が国民にあって、移民政策というか移民政策に近いというか、どちらかこれは定義が決まってないから詮無きことなんですけども、議論していればですよ、ただし、他国の人が非常に日本に入りやすく、そして永住しやすい国になっていくという懸念というのはこれはやはり持つことはあるんだろうなと。そして、先程、前の議員の方が仰ってましたけれども、人手不足なら1号だけを検討すればいいじゃないかと。なぜこの時点でわざわざ永住権も取得できそうな2号を採り入れなければいけないのか。3年後でも何年後でも十分検討する時間があるにも関わらず、なんでこの臨時国会で、ここまで盛り込んだ法案を提案してこなければいけないのかというのが私としても非常に疑問なわけでございます。今回ですね、見込み数がありました。5年後の人材不足の見込み数と受け入れの見込み数に差があるのはどういうことかとお聞きしましたらば、要するに生産性の向上と国内の人材の育成ということでありましたけども、その足りない部分を外国人で埋めるんだという話であるんですね。これ、ちょっとおかしいなと思うのは足りない部分って必ずしも相当程度のレベルの人ばかりではないはずなんです。単純な作業に従事している人もいるはずなんですよ。それを含めて、そこに外国人を入れるということは、相当程度といいながら単純な部分も含めて入れることになると思んですが、どうでしょうか」

《2 「日本人の雇用は本当に守られるのか」に続く》

The following two tabs change content below.
1 2