外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法改正案、いわゆる「移民法案」に保守層を中心とした懸念が広がる中、衆議院法務委員会は11月22日、参考人質疑を行った。言論ドットコム編集部が注目したのは、発展途上国から見た「日本市場」である。その点を質問したのは、自民党の門博文衆議院議員だ。今回も質疑の模様を書き起こしたのでご覧いただきたい。

参考人は、
①安冨潔氏(京都産業大学法務研究科客員教授 慶應義塾大学名誉教授 弁護士)
②レロンソン氏(ESUHAI Co.Ltd代表取締役)
③鳥井一平氏(特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク代表理事)
④坂本恵氏(福島大学行政政策学類教授)
⑤指宿昭一氏(日本労働弁護団常任幹事 弁護士)
⑥八代尚宏氏(昭和女子大学グローバルビジネス学部長・特命教授)

門博文衆議院議員
「自由民主党の門博文でございます。今日は参考人の皆様は大変お忙しいところ、そして、また急なお呼びかけがあったのかと思いますけども、今回の法案に対しての参考人質疑ということでお越しいただきまして、どうもありがとうございます。私は国会議員になる前は民間会社で23年間仕事をしていまして、観光業、ホテルの現場で仕事をしてまいりました。ですから、自分の経験から言いますと、例えば外国人のコックさん、シェフですね、こういう方は就労ビザをちゃんと取って一緒に働いた経験もあるんですけれども、その時は手続きの手間暇とかですね、そういうことを業務を通して経験したりしまして、そして、また半面、今回の法律で求められているような色々な人材の中にも、ホテルとか旅館の現場でということがありまして、その必然性ということを自分なりの経験でもわかって、いま質問に立たせていただくわけなんですけども、いま参考人の方々から今の法律について、そして、また現在の技能実習制度についても色々な御意見をいただきました。私がお伺いしておりまして、中々複雑な気持ちで聞かせていただいたんですけども、委員会の質疑を通して、技能実習制度の良くないというか、問題点が多々指摘をされまして、どちらかというと、そういうことが指摘されることがほとんどですし、現在、参考人の方々からお伺いした中でも、そういう面が大変多かったと思います。しかし、あのレロンソンさんからは逆にですね、技能実習制度について良い制度だと、きちんと運用していったら、これだけ素晴らしい実績があってですね、今現在そういうことに対して期待しているということを逆に日本人じゃない方から、唯一、そういうご指摘をいただいているような気がします。あえて、もう一度、レロンソンさんにお伺いしたいんですけども、まさに技能実習制度というのは国際貢献ということがお題目の一番、一丁目一番地に掲げられて、そういう運用ということで制度ができているんですけども、確かに制度と運用の中でいろいろな問題点があって、いまそれぞれの御指摘されたことはわれわれも見聞きしています。ただ、制度自体を否定するのではなくて、その制度の素晴らしさということに対してですね、先程もお話をいただきましたけども、もう一度ですね、あらためてこの制度の今までの実績とか、その期待についてですね、あらためてお伺いさせていただきたいんですけども、よろしくお願いします」

レロンソン参考人
「御質問ありがとうございます。あらためまして、技能実習制度について、素晴らしいと実感したことについてお話しをしたいと思います。技能実習制度の本来の意味は国際貢献、技術移転、そういった発展途上国に対する人材育成だと。一定期間、一番最初は1年間、また次は3年間、新法律は5年間、最長できるようになっております。その過程において、やはり毎年、特にベトナムから日本に入ってくる技能実習生、2010年までに年間で1万人しか来なかったこと。2010年以降、研修生から実習生に移行した時期から、毎年でほぼ数千人、また1万人増え続けております。例えば、昨年、2017年、ベトナムから6万数千人、1年間で日本に入国することができました。もう1つ、この数字が増えていることはいわゆるベトナム国内で若者の日本に実習生として行きたいという人が増えている証だと思います。つまり、技能実習生、ここまでの20数年にわたって日本にきて、技能実習して帰国した人たちが毎年増えてきております。その増えてきた技能実習生がベトナムで大変活躍をしております。その成功事例もベトナムのメディア、マスコミなどで取り上げられています。技能実習生において、帰ってきた成功は各地、地方でたくさん出ているわけですので、自分も技能実習生として行ければいいと、そういう傾向でだんだん希望者が増えているわけです。もし、本来この制度が良くない、ベトナム人から見て良くない制度ならば、人気がなく、来なくなると思います。実際、他の国に行くベトナム人も最初はたくさんいったんですけども、最初はたくさんいったんですけども毎年減って、もう行きたくないことになっております。自分は素晴らしいということを、自分、個人的な実感しているんですけども、この制度を生かしてきたベトナム人の若者、現実、全部ではないんですけども、その一部で非常に成功している。成功していない人にしても、やはり日本にきて学んだことですね、まず言葉、まず日本語、自分の経験上ですけども、日本語を喋るようになってから日本の文化がすっと入ってきます。ベトナムの民族、国民性はもちろん、アイデンティティーがありますけども、それと日本の文化が融合することによって新たな自分の人生が開いたなと思います。ベトナム人、いま日本語学習者は毎年増えていまして、日本にもっといきたい人が増えていまして、結果的にベトナムの中で、たくさん日本の文化が理解できる、特に日本の企業の中で経験者、たくさん経験を積んだ人、これが増えればですね、結果的にベトナムの産業、必ず日本の企業をもっと誘致していけるという風に思っております。ですから、本来、日本の労働者不足、それ以前の技能実習生というのが本来人材が本国に戻って貢献してもらおうと、ここまでの素晴らしさを私としては非常にありがたく実感しております。ありがとうございます」

門氏
「ありがとうございました。いまそういうことであらためてもう一度、この技能実習制度の実態というか、いい面ですね、きかせていただいたんですけどもレロンソンさんばかりで申し訳ないんですけども、逆にそうやって評価してくれているレロンソンさんから見てですね、この今の技能実習制度、さっき意見陳述の中に送り出しの中でいろいろな工夫をしないといけないというようなお話がありましたけども、逆に今回、私たちは新しい在留資格ということで法律をつくろうとしていることも含めてなんですけども、ちょっと悪口をあらためて日本のこれからについて、こうしてほしいと、ここがなっていないんだ、というようなことがあれば、その点についても教えていただけますか」

レロンソン参考人
「まじめな人材が日本にはいってきてほしいと自分から願っております。そのために、しっかり優秀な人材、まじめな人をそういった選定をして、その上、一定期間の教育をしたら入れて、そういった人材が日本の心を理解できるようになってくる人が日本に入ったら、そういった、言うことないという風に思っております。一方、そういった、まだそこまでやっていない事業者ももちろん存在しているわけです。私の、この教育事業をはじめたのはもう15、16年前からだったんですけども、だんだんベトナム国内もですね、私達のやっていることを見て参考にして、やはり、会社は送り出した実習生があまり問題にはならない、もっと成功している人の教育のことは素晴らしいという風に認識していただいて、だんだん、2年前に成立された技能実習生の法律、二国間の取り決めの締結をすることによって、ベトナム政府もますます力をいれてですね、送り出す機関に対して管理体制も整っております。送り出し機関に、いまほとんど教育の力がわかるようになっております。日本語教育や日本の文化ができるようになっております。その中でこれから特定技能、もっと、さらに門をひらいて、即戦力として入ってくるようにするためには、やはりそういったその延長でですね、たとえば試験だけ設けてですね、試験合格すればいいというわけではないと思います。最終的にその人の気持ちですね、意識、この気持ち、意識は試験は実施しても分からないことだと思います。ですから、日本の企業さんは素晴らしい文化があるのは、入社してから社員研修という形をよくやっております。これベトナムではまだその文化がない。ですから日本に入国する前までに相手国先で、一定期間の教育義務、義務教育として日本の文化、日本語を何らかの日本政府からの支援を行っていただいた上で、試験を実施していただければ、もっと友好的に、まじめな人材が入ってくるのではないかという風に考えています」

門氏
「ありがとうございました。本当に、実際にその色々な事例をずっとご経験された上での貴重なご意見だと思いますし、われわれも法律のことについては概ね日本国内で議論しておりますけども、やはり海外から日本を見たときの視点でどういうものが必要かということを非常に御意見をたまわったという風に思います。いずれにしましても、私たちは外国の方と一緒に暮らすとか、外国の方と一緒に仕事をするということにほとんど慣れてきていなかった国であります。ただ、私は今回、この審議の状況が色々マスコミ等で伝えられますので、地元の人からも色々な意見を頂くんですけども、いやいや門さん、十分に日本にはたくさんの外国人がこられているじゃないですかと。なんでですかと聞いたら、コンビニでたくさん働いてらっしゃる。私の選挙区の和歌山でもそうなんですけども、一般の国民の皆さんからいえば、どういう在留資格で働いてらっしゃるかということは全くわかっていないのが現実だと思います。今回の法律の審議の中で、そういうところも整理をしながらですね、私たちは皆さんのご意見を参考にさせていただいて、この日本が将来、50年、100年にわたって外国の皆さんと一緒に暮らして、仕事を一緒にしていくために、どういう準備をしていかなければいけないのか、どういうことをしていかなければいけないのか、そのことをまた皆さん方とご相談をしながら、色々な仕組みをつくることに携わっていきたいと思います。私の質問はこれで終わらせていただきます」

 この審議を見て、あらためて感じることは、門氏が指摘するように「50年、100年にわたって外国の皆さんと一緒に暮らして、仕事を一緒にしていく」ための準備を我が国がどれだけしてきたのかという点である。それを今、この臨時国会の審議を通じて、来年4月までの期間に行うことができるのか。国としての準備と国民の覚悟はできていないと思う人は少なくないだろう。

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