外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法改正案、いわゆる「移民法案」に保守層を中心とした懸念が広がる中、衆議院法務委員会は11月22日、参考人質疑を行った。言論ドットコム編集部が注目したのは、来年4月導入の外国人労働者受け入れ拡大前に「準備すべきことは何か」である。その点を質問したのは、公明党の浜地雅一衆議院議員だ。今回も質疑の模様を書き起こしたのでご覧いただきたい。

参考人は、
①安冨潔氏(京都産業大学法務研究科客員教授 慶應義塾大学名誉教授 弁護士)
②レロンソン氏(ESUHAI Co.Ltd代表取締役)
③鳥井一平氏(特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク代表理事)
④坂本恵氏(福島大学行政政策学類教授)
⑤指宿昭一氏(日本労働弁護団常任幹事 弁護士)
⑥八代尚宏氏(昭和女子大学グローバルビジネス学部長・特命教授)

浜地雅一衆議院議員
「公明党の浜地雅一と申します。今日は6人の参考人の皆様に貴重な意見をいただきありがとうございました。全員に時間の関係で質問ができない場合もありますのであらかじめご了承をいただければと思います。レロンソン参考人にお聞きしたいと思います。3年ぶりだと思います。ホーチミンで一度お会いしまして、あの時に日本とベトナムの関係をしっかり繋ぐというレロンソン参考人の熱いまなざしをいま思い出しながら話をしてまいりました。今日はですね、まさに日本人の参考人の方がいらっしゃる中で唯一、ベトナム国籍の参考人ですので、またベトナム側から見た日本の姿を聞きたいと思いますので、中心的に質問をさせていただきたいと思っております。まず冒頭ですね、ベトナムからしますと、周りにはたくさんの労働市場を開放している国がございます。韓国もしかり、オーストラリアもしかりでございます。特に私もこの夏にオーストラリアに行きましたけども、非常に外国人をたくさん受け入れて国力を蓄えようというそういう政策をとっております。そういう中で今回日本がですね、先程先生からご案内がありました、いわゆる高度人材でもなければ技能実習、これから技能を習得する未熟な方ではない、いわゆる中程度の人材開放ということがベトナムの方からどのように映っていますか。魅力的な市場に見えているのか正直にお答えいただければと思います」

レロンソン参考人
「質問ありがとうございます。今まで技能実習制度、もう1つは高度人材というエンジニア、エンジニアの場合は数はそんなに多くはない。非常に高度な技術、高度な日本語など企業さんから求められている。技能実習生も増えているわけですけども、これから日本の中のいろいろな分野、技能実習生を受け入れられない分野も追加されて、いま14分野が検討されているんですけど、もっと増えると思います。ベトナムはいまですね、毎年100万人以上増えています、増え続けていきます。いわゆる若者が大学や専門学校、高校を卒業した、それくらいの数が出てきます。ベトナムの国の中で法人、やっと今の数字は70万社しか登録されていない。その70万社でも歴史はまだ浅いし、規模もまだ零細以下の事業所でもあります。ですから、年間雇用できる能力が100万人、新たな枠が発生すると消化できない。ベトナムの政府としてはもっと海外に出て、その実績、外貨の獲得、もう1つの人材育成、こういった外貨の獲得というのはやはり給料が高い国にもっといってほしいわけですけども、一方、いまベトナムから20何か国にいま派遣しているんですけども、唯一日本だけは技能実習生をはじめ、これは国際貢献、人材育成だという風にベトナム国民、ベトナム政府も十分に認識しています。日本はいま一番人気な国です。一番いきたい国です。その技能実習生だけでなくて、留学生もエンジニアもそうですけども、そこで今回特定技能がもし成立されたらもっとですね、日本にいきたい人が増えると思います。なぜ増えるかというと、技能実習生より所得が少し上がります。もう1つ、転職することが自由になると。この点に関しては、非常に優遇されるということは間違いないと思います。ただ、自分はベトナムの若者ですね、まだ経験も浅い、専門性もまだ足りない、まだ社会人としていっていないうちに、いきなり特定技能として入って優遇されたり、また転職できたり、ベトナムはよく日系企業の意思疎通、ベトナム人は就職したら1年未満で勝手にやめたりよくあります。たとえば、お正月、ベトナムは旧正月ですけども、故郷にかえってお正月が終わった後に2割会社に戻らないという状況にもあります。このあたりの、もしそういった意識が低いベトナム労働者が日本に入ったらですね、転職もできる、給料が高い方が転職ができる。そうすると、もともと地方の方が人材に困っているわけですけども、地方の企業様はそういった人材を採用して本来なら一定期間働いてほしい。日本は終身雇用というくらいですけども、そこまでなくても、一定期間、長い期間ですね、3年から5年ずっと働いてもらいたいというのに対して、ベトナム人は今度権利を主張できるようになったら意識が低いままで、しょっちゅう転職する。やはりだれか推薦できる、つまり、もっと転職していいよ、と誘われる。そういった日本社会の中で混乱してしまう。日本社会が混乱するだけでなくて、ベトナム人に対して企業さんがもう信頼できなくなる。今度ベトナム人はもういらないということになると今度は国際問題になっていくので、制度をもし設けようとしたら転職はとてもいいことです。ただ、エンジニアのようなしっかりした身分を、しっかりした理解ができた上で今度転職ちゃんと順番で、企業と相談したり、なぜ転職しなければならないのか、お互いの理解をしあって、転職すればいいのに、それができないと問題になりますと。特定技能がもし入ってくる場合は、先ほど先生の御意見は中度的なレベル、やはり技能実習生よりちょっと何か即戦力として、そういった人材が入れば今の言っている心配はならないと思います。そのようになっていただきたいと思います」

浜地氏
「そうしますと、レロンソン参考人からしますと、先程特定技能で受け入れて、ある程度の、当然一定の知識がなければいけませんが、先程、他の参考人から技能実習は廃止をという話がございましたが、私は話を聞いておりますと、技能実習こそ基礎的技術を学び、日本の習慣を学ぶものになると思いますが、先程他の参考人から廃止しろということについてですね、技能実習に携わっているレロンソン参考人からあれば簡潔にお答えいただければと思います」

レロンソン参考人
「これ直接、自分の事業に関係がありますのでもちろん廃止してほしくないと思いますが、ただそうですね、今まで20何年間、この制度できまして、正直自分の取引している企業さんは十分に満足されています。問題にほとんどなっていない。技能実習生も満足して、企業との関係がうまくいっている。これくらいできるようになったらなぜ廃止しなければならないのかという風に考えます。もちろん、問題になっている低賃金、あるいは未払いなどもあります。どんな制度でもどんな法律でもやはり違反者がいます。これは国としての取り締まりの力でどんどんそういったよくないところを廃止して、いいところを逆に伸ばしていく。技能実習制度はもっと伸ばしていきたいと思っていただきたいと思います。ベトナム政府もそれを望んでいることです。さらに特定技能の門を開いて、技能実習生、よく日本の諺は石の上にも3年というのは、やはり技能実習制度はそういうところには適応できて、その延長で特定技能に移行できたら希望者ですね、人生は明るくなる。そういう風に望んでおりますので、廃止すべきではないという風に意見を考えています」

浜地氏
「ありがとうございます。詳しくお話をいただいておりますので、大変貴重な御意見をいただいています。最後にですね、レロンソンさんばかりで申し訳ないですが、送り出し機関ですよね、ベトナム政府認定の二国間の取り決めに基づく送り出し機関の代表ということでよろしいかと思います。それで保証金は一切おとりになっていないという風に過去の様々なレポート等で拝見しています。ただ、実際にはその前に日本語教育を中心にしっかりやられるということなんですが、これは決して事業の中身を聞くわけではないんですが、保証金を今回特定技能をとってしまえば受けいれができません。しかし、構造的に保証金をとらなければ事業が成り立たないような送り出し側の機関があるとすれば、やはり根は絶てないと思うんですね。そういう面ではレロンソンさんの会社では送り出し機関として保証金をとらないのにどういったところで収益としてあがっているのかということを営業の範囲の中でお答えいただければ大変参考になります」

レロンソン参考人
「弊社の送り出せるようになったのが2008年末、これは労働省から認可を受けました。その準備をしている期間を入れて、2010年以降初めて送り出せるようになったわけです。われわれはその時の考え方、当時まだ二国間協定を結んでいない。ベトナム政府の法律は保証金、海外に派遣する場合は送り出し機関として保証金はとっていいということになっています。逆にとらないといけない。なぜかというと、国の信頼がなくなるので、その保証金の法律はできています。もう1つ、これはサービスですので派遣手数料というのも法律は定まっています。この2つ、2010年、研修生制度から実習生に移行する際に日本の法律は担保金をとってはいけないということで、弊社は2010年、それを徹底的に順守しまして、ただ皆さんはよくご心配、担保金をとらなければ失踪してしまうのでとった方がいいといわれている。我々は徹底的に法律を順守して、逆に担保金をとらない方が失踪はしない、犯罪者にならない。なぜかというと、高額な担保金をとってしまうとまじめな人が入ってこない。まじめな人は健全なやり方を受けたいわけです。健全じゃない人はやはりお金で解決するので、結果的にブローカーをはさんでなってしまう。そういう人たちが入ってくると、高額な支払いがあったから問題になってくる。われわれはまじめな人が、一番法律で認められる範囲内で、それ以下で教育もしっかり入れて、そういった勉強がしたい人が入れるように、そうしたら、われわれに入ってくる割合は高校卒業の割合は2割だけ。専門学校、短大、大学が6割占めております。だから学歴が非常に高いんです。学歴が高い人が理解できるので、法律のことを理解できるので、やはり将来のことを考えていくわけですから、安くできるようにわれわれのスタンスでやってきたわけですので、結果的にまじめな人が入ってくると。だから問題にならないという風に。新法律、2年前に施行されてから今度、二国間の取り決めができるようになって、ベトナム政府は今まで保証金は認めていたんですが、二国間の協定を結んで、日本政府が圧力をかけて担保金を廃止してくださいと、そうするとベトナム政府はそのように他の国に送り出す際は担保金をとっていいんですけども、日本だけは認めていない、そのようになっているので、ますます制度がよくなってきていると思います。派遣機関はいま担保金をとっているところはまだあるかと思いますけども、少ないと思います。まじめな方になってきていると思います」

浜地氏
「他の参考人、お話を聞けなくて大変申し訳ございません。貴重なお話をいただきありがとうございました」

 今回、外国人労働者受け入れ拡大に伴い「転職」が認められた場合、レロンソン氏が指摘するように、外国人労働者がある日突然いなくなってしまうというようなことはないのか。制度面、運用面のみならず企業、国民がそうしたことも考え、どのようにこの「短期間」で準備しなければならないのか。大転換を前に、国と国民の覚悟が試されている。

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