外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法改正案、いわゆる「移民法案」に保守層を中心とした懸念が広がる中、自民、公明両党は日本維新の会と改正案の修正で合意した。与党は野党の一部を取り込むことで「採決の環境が整った」として、予定通り11月27日に衆議院を通過させ、会期内の成立を目指す方針だ。言論ドットコム編集部は、参考人質疑が行われた11月22日の衆議院法務委員会に注目。「特定の分野は外国人労働者だけにならないのか?」という疑問点を取り上げた国民民主党の源馬謙太郎衆議院議員の質疑の模様を書き起こした。改正案は、衆議院と参議院で圧倒的多数を占める与党などの賛成により可決・成立することになるが、その前に是非ご覧いただきたい。

参考人は、
①安冨潔氏(京都産業大学法務研究科客員教授 慶應義塾大学名誉教授 弁護士)
②レロンソン氏(ESUHAI Co.Ltd代表取締役)
③鳥井一平氏(特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク代表理事)
④坂本恵氏(福島大学行政政策学類教授)
⑤指宿昭一氏(日本労働弁護団常任幹事 弁護士)
⑥八代尚宏氏(昭和女子大学グローバルビジネス学部長・特命教授)

源馬謙太郎衆議院議員
「国民民主党の源馬謙太郎と申します。今日は参考人の皆様、お忙しい中、ありがとうございました。それぞれ皆様のお話、大変参考になりました。多くの方が仰っていたことだと思いますが、やはり外国人の方を単なる労働者として、短期間受け入れて用が足りたら、もう帰ってもらおうという考えはもうそもそもダメなんだという考えは皆さん共通されていたように感じます。その上で現在の日本の政策、特にいま鳥井参考人からお話がありましたが、先程のお話の中で定住させずにいかに期間限定の、使い捨ての労働力の受け入れという、そういった観点に力点があることが問題だという風にされていますが、いまの日本の外国人受け入れ制度のどこの部分がその使い捨ての労働力という風に受け取られる根源になっているか、簡単に教えて頂ければと思います」

鳥井参考人
「ありがとうございます。先程、意見陳述で申し上げましたけども、そもそも入り口がないんですね。ですから、外国人労働者の40%以上が留学生や技能実習生になっている。そして、また難民申請の方をそういう風に。つまり日本にきて働くには技能実習生になるか、あるいは難民申請という形で日本に入るのか、あるいは留学生という形で入るしかないと。そうすると、これはやはり日本で働き生活していくという形にはなっていないんですね。ですから、やはり労働者、労働者として入る入り口、人として入ってくる入り口という制度設計が求められるということなんですね。これには、いま現在この30年間、とりわけ30年と強調していますけども、この30年間ということで特定しましても様々な課題があるわけですから、その制度設計にあたっては真剣に議論する必要があると思います。たとえば、脱退一時金、入管の方に法案審議になる前に質問したんですね。そうしたら、なんですかと仰る。つまり、脱退一時金そのものについても働いて、帰るときにはどうしていくのか。あるいはいわゆる年金という制度にどう参加してもらうのか。これは積立金ではありませんという理解をしていただくわけですね。そういうことについての入り口の作り方に、あるいは外国人労働者に対する制度設計がですね、やはり必要なんじゃないかなという風に思います」

源馬氏
「ありがとうございます。外国人の方を受け入れてから、どのように日本の社会で生活をしてもらい、暮らしてもらうかということももちろん大事だけれども、まずその入り口の部分でいまの入り口の立て付けではいくら中間の特定技能1号、2号ができても変わらないという趣旨だと伺いました。一方で、ロレンソン参考人からもいろいろ実際に技能実習をされて、さらに技能実習を送り出しをされているというお話ですけども、ロレンソン参考人・・・レロンソン参考人、すみません失礼いたしました。レロンソン参考人の送り出し機関で送り出している技能実習生、その方たちにいろいろな経験や情報も共有されていると思うのですけども、仮に特定技能1号、2号ができたら移行したいと思っている方がどれくらいいらっしゃると、肌感覚でもいいですが教えていただけますか」

レロンソン参考人
「ちょうど、いま国会で議論中の制度ですけども、もうすでにベトナムの中でSNS、フェイスブックやそのメディアの中でちょっといま日本の特定技能について、流れていることもあります。うちも学校の中でいま学生は3700名ですけども、よく会議中で学生からの質問がありまして、これから日本に就労できる特定技能としてできる5年間、またさらに永住とれる、結構関心が高まってきております。来ている技能実習生は特定技能でいこうとするというのはまだ弊社は調査をおこなっていないんですが、肌の感覚でいえば0ではない。どれくらい、何%かこれから調査したらわかりますけれども、ただ直感ではですね、どうですかね、たとえば技能実習制度で1年、3年、5年というのは、それぞれ計画がありまして、弊社から1年しか日本に来たくないという選択の人もいます。ですから、1年で日本で経験して、その経験を生かしてベトナムで就職したいという希望者も結構います。3年しか着たくないという人もいます。その上、5年に延長したいという人もいます。ですから、これから全員、技能実習生から特定技能に移行することはならないとは思いますけども、半々か、2、3割、3、4割になるんじゃないかなと思っています」

源馬氏
「ちょっと細かな実態のこともせっかくですから教えていただきたいと思うんですが、いろいろな技能実習いかれた方がいらっしゃると思います。いろいろな職種でいかれた方もいらっしゃると思います。たとえば、その職種ごとにですね、個人の差というのはもちろんあると思うんですが、その職種ごとに身につけて帰ってくる技能の程度とか、あるいは日本語能力の程度とか、日本に対する理解の度合いというのはだいたい一緒くらいなのか、それとも差が出てくるものなのか、そこをお伺いさせていただきたいと思います」

レロンソン参考人
「ちょうど先日、弊社、大使館から今まで帰国した人が成功事例としてどういう風になっているか行いました。それいま1000人くらいすでに帰国しているわけですけども、その1000人の中で数百名ですね、リストアップができまして、その中でもう4割くらいですね、ヒアリングできました。まだ一部連絡が取れていない方もいるんですけども、その中でほとんどの場合は日系企業やベトナムの企業、外資企業などでリーダー以上の職務でやっている人が多いですね。一部、自分の会社を起こしたり社長になった人もいます。日系企業の中で生産管理、課長や総務部長とか、もともと日本にいって実習した技能というのがそのまま生かすのが100%ではない。何かで日本で学んだこと、それを生かしてベトナムで企業さんの募集している条件に当てはめる、やりたい人がそれ就職できるようになっております。もう1つ、われわれの基礎学力をつけてから日本にくるので、まず帰国してですね、N1とれた人は今まで8年間で20名近く。N1取れるのに留学生でも4年以上勉強しないと取れないくらいの難しいです。でも働きながら実習でN1とれて帰った人が20何人います。もうN2は100人以上とれています。N3はもうたくさん出ています。日本語だけの部分で生かして、ベトナム国内で就職しやすくなっているので、技能実習生としてきていろいろなもの、いろいろなことを学んで、ベトナムに帰ったら就職の有利になっていくので、また待遇もよくなっていくので、そういったいい循環になっていく、この制度は非常に素晴らしいということがあります」

源馬氏
「ありがとうございます。続いて、坂本参考人にお伺いさせていただきたいんですが、先程の意見陳述の中でございました人材を確保することが困難な産業分野に受け入れる今回の制度、問題ではないかという御指摘がありました。私も同じ問題意識をもっておりまして、こうした委員会の質疑でもたびたび取り上げているんですけども、こういう日本人の人材を確保するのが難しい分野、しかも努力をしてもなお難しい分野に限って外国人を受け入れるということですから、それが進めばその分野は外国人ばかりになるような気がするんです。もともと難しいわけですから、日本人を雇用するのが。その懸念を私は持っているんですが坂本参考人のお考えをお伺いしたいのと、あわせて同じことを安冨参考人からも是非お伺いしたいと思います。お話の中で冒頭ですね、国内人材でも補いきれない分野に限ってというお話がありましたのでお2人にお伺いしたいと思います」

坂本参考人
「ありがとうございます。私、その件で発言させていただいたのは今月16日付の受け入れの見込み数という資料を読ませていただいて感じたことを述べさせていただきました。どうしても努力をして、市場テストという言い方もしますけども、それ以外のファクターも含めて努力をされて、それでも埋まらない部分というのは当然出てくるともちろん思っておりますし、そこで海外で質の高い、本当に技術をお持ちの方においでいただいて、ご尽力いただくというのが当然だと思うんですけども、この計算式というか試算があまりにも、非常に杜撰というか、きちんとこれはハローワークでどれくらい募集が埋まったかというのは、これは一人単位まで計算することができるわけですね。それできちんとやれば、日本の雇用には影響せずに運用するということができると。そこの努力を各業界でもやっていただけるとね、質の高い方においでいただくことが可能と思いますので、その制度を本格的に導入いただくことが必要ではないかと思います」

安冨参考人
「お答え申し上げます。委員御懸念になるような特定分野での偏りというようなことが現実に起こるか、これはわかりませんけども、ただ少なくとも入っていただくという場面においては補えない、しかし企業として事業体として重要だというようなところにおこしていただいて、そして働いていただくという趣旨で申し上げました。そういうことで今後どんどん内容が進んでまいりますと、あるいはありうるかもしれませんが、いま私が申し上げているのはそこまでのところではなく、今度入っていただくというところでの入り口の議論として申し上げたような趣旨でございます」

源馬氏
「ありがとうございます。それでは時間もなくなってきましたが、指宿参考人にお伺いさせていただきたいと思います。いろいろなケースをご覧になってきまして、私も地元で、地元は浜松市なんですけども、たくさんの外国人の方がいて、技能実習生をたくさん受け入れている企業もたくさんあります。私も鳥井参考人への質問ではありませんが、私も知り合う会社の社長さんは良い人で、ちゃんとされている方のところが多いという印象をもっていました。先程の鳥井参考人のお答えもありましたけども、いろいろと現場で相談を受けたりですね、いろいろな問題を解決されている指宿参考人のお立場、御経験からなぜ今の制度でですね、ちゃんとしたところもあるはずなのにこうしたいくつかのというか、少なくないこうした不当な扱いとかですね、残念なことが起きてしまっているとお考えを教えていただきたいと思います」

指宿参考人
「ありがとうございます。さっき鳥井参考人の話でもありましたけど、私もたくさんの受け入れ企業の社長さん、あるいは農家の方と話をしてきました。同じ印象です。もともと悪い人が集まっているわけでは決してない。自分の会社をなんとか存続させるために呼ばざるを得なかった。あるいは元請けからの圧力でどんどん単価を下げられて入れるしかなかったという話も聞いています。なにが違うかというと、日本人労働者だったら時給300円で雇ったらやめてしまうわけですよ。時給300円でも働いてくれる、働いてくれるだけじゃなくて労基署にも駆け込まない。そういう状態に人間がおかれた時に、やはり経営も苦しいでしょうから、ついついそっちの方に流れていく。だんだんそれが当たり前になっていく。そういうことなんじゃないかと思っています。私も問題のない企業、よくやっている企業にも実際に行ってヒアリングしたり、聞いています。ある意味、努力をして、ちゃんと給料を払っている。ただ、それでも最低賃金ですね。それと、よくやっているんだけど細かく聞いていると若干違反があるとか、そういうところはありますね。でも基本的に実習生が不満をもたない程度で何とかやっている。ただ1つ申しておきたいのは、そういうところでも技術移転ということはやられていないです。ただ働いてもらっているだけです。実習生も出稼ぎできている。日本語は学んで帰って日本語をいかしているという事例はたくさん知っています。でも、技術を学んで、その技術で会社を立ち上げたとか、その技術でどっかで働いている事例はとても少ないです。だから、技能移転じゃなくて、日本で働いた結果、日本語を学んだり、日本の文化を学んだり、それで国に帰って活躍する、そういう人はいますよ。出稼ぎというか、あらゆる何というかな、移住労働者の場合に起こることが実習生でも起こっているわけで、別に国際貢献とか、技能移転とかではないんですね。社長さんに国際貢献していますかと聞いたら笑われたことがあります。いや、うちは厳しいのでそれどころではないと。それが実態だと思います。この制度は、技能実習生、受け入れ企業のすべてが悪いとは言っていないし、一生懸命やっている方がいるのは知っています。でも問題は起こるし、問題が起こったら修復ができない。それは実習生がものを言えないからです。申告もできないし、弁護士や労働組合にも駆け込めない。これが奴隷的な労働を生む構造なんだと思います。ここが問題なんだと思います」

源馬氏
「ありがとうございました。八代参考人に質問できずに大変申し訳ございませんでした。ありがとうございました」

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