外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法改正案、いわゆる「移民法案」が11月27日、衆議院を通過した。自民、公明両党は日本維新の会と改正案の修正で合意しており、会期内成立を図って来年4月の新制度導入を目指す。言論ドットコム編集部は、11月27日の衆議院本会議における賛成討論と反対討論の模様を書き起こしたので是非ご覧いただきたい。今回は公明党の浜地雅一衆議院議員による賛成討論である。

浜地雅一氏
「公明党の浜地雅一です。公明党を代表し、政府提出、出入国管理および難民認定法および法務省設置法の一部を改正する法律案、自民、公明、維新による同修正案に対し、賛成の立場から討論をいたします。現在、我が国に在留する外国人は約260万人、そのうち128万人が就労している状況でありますが、人手不足が特に深刻な建設や宿泊、外食産業をはじめとする業種においては、就労を直接の目的とする在留資格はない状況です。そのため、かかる分野では本来、技能の国際移転を目的とする技能実習生や多くの留学生の資格外活動に頼っている状況の中、今法律案は人手不足が顕著な分野に真正面から就労資格を認める特定技能1号、2号を創設する内容であり、大変有意義なものであります。深刻な人手不足に早急に対応するため、一日も早く成立させる必要があります。

法務委員会の審議では政府基本方針、分野別運用方針や省令の検討状況について質問が相次ぎましたが、政府答弁をはじめ随時提出された資料等により、制度の根幹部分が明らかとなりました。具体的には受け入れ業種を14業種とし、その規模感は初年度の受け入れ見込み数を3万2800人から4万7550人、5年後の受け入れ見込み数を26万2700人から34万5150人と示し、分野別運用方針で確定する人数を受け入れの上限とすることも答弁で明らかとなりました。そもそも、入管業務には行政裁量が広く認められ、他の在留資格には受け入れ上限数などないところでございますが、雇用や国民生活への影響を考慮し、分野別運用方針に特定技能外国人の受け入れ上限数を明記するとしたことは今後の労働人口を予測する上で意義があるものと考えます。

また、報酬の水準も日本人と同等以上とし、その他、教育訓練の実施や福利厚生施設の利用においても差別的取り扱いの禁止が法案に明記されております。雇用形態も直接雇用を原則とした上で、農業分野など派遣形態が必要不可欠な分野に限り認めることが明らかとなりました。さらに雇用契約および支援計画の内容が順守されるよう届け出事項を詳細化し、加えて保証金を徴収された外国人を受け入れることができない仕組みとなっているなど、特定技能外国人が適法、適切に就労する環境を確保できる制度となっています。

加えて、官庁が行う試験についても筆記に加え、実技試験をかすなど詳細な答弁もありました。永住許可との関係も特定技能1号は永住許可ガイドラインの就労期間に含まないこと、他方、同2号については就労期間に含める方向で検討されていることも答弁で明らかにされました。また、特定技能1号外国人が解雇された場合には転職を含めた支援を行うことを受け入れ機関等に義務付けるなど、熟練した知識、技能の水準までに達しない特定技能1号外国人に対して適切な支援を行う仕組みとなっており、評価できます。

創設される出入国在留管理庁においては、公正な在留を確保するため、受け入れ機関に対し、雇用契約や支援計画の内容変更をはじめ随時定期的に届け出がなされ、かつ、受け入れ機関への改善命令権、立ち入り調査権が付与されるなど、特定技能外国人の在留状況を的確に把握することが可能となり、高く評価します。

さらに、外国人の就労をはじめ生活支援を行うべく法務省には関係府省庁に対する総合調整機能が付与され、本格的な多文化共生社会の構築に政府一丸となって取り組むことになります。政府には、外国人材の受け入れ、共生のための総合的対応の議論をさらに加速させ、特に外国人の就労、生活の場を支える地方公共団体の声を聞き、外国人支援に携わる関係機関への適切な支援を行うことを切に要望します。

また、修正案の付則において、特定技能外国人が過度に大都市圏その他特定地域に集中しないよう政府に努力義務を設けたことも高く評価します。以上の通り、本制度の根幹部分については質疑を通じて明らかにされており、一部野党が批判するようなスカスカの制度ではないと強く申し上げます。

なお、旧技能実習制度下での失踪の聴取票の集計データの誤りについては弁解の余地はなく、法務省には猛省を促します。一方で、技能実習制度は平成28年11月に監理団体を許可制とし、実地調査権が付与された外国人の技能実習機構を創設するなどの改正を行い、昨年11月に施行されております。施行後まもない期間ではありますが、外国人技能実習機構はすでに3700件におよぶ実地調査を行うなど改正の効果は確実にあらわれ始めております。

具体的には、今年6月までの速報値によると、失踪者の割合は昨年の2%程度から今年は1.3%に低下しております。また、参考人質疑においてはベトナム政府認定の送り出し機関の代表者から意見を聴取しましたが、ベトナムでは日本に技能実習生を送り出す場合に保証金を徴収してはならない規定があることが周知されており、特定技能においても送り出し国側に対し、保証金の徴収禁止など制度の詳細を広報することが重要になると考えます。法務省においては、今般設置された門山宏哲政務官をヘッドとする技能実習制度の運用プロジェクトチームにおいて詳細な分析検討を行い、さらなる運用の改善を図り、失踪者の減少につなげるよう強く要望いたします。

最後に、本法案を契機に我が国は本格的な外国人との共生社会の構築に乗り出すことになります。外国人材を単なる労働力の補完としてとらえるのではなく、生活者であることを念頭に外国人材が安心して働き、学び、生活できる日本とすることが今後本格化する世界の人材獲得競争に勝ち抜く、もっとも重要な視点であることを申し上げ、私の賛成討論といたします」

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