外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法改正案、いわゆる「移民法案」が11月27日、衆議院を通過した。自民、公明両党は日本維新の会と改正案の修正で合意しており、会期内成立を図って来年4月の新制度導入を目指す。言論ドットコム編集部は、11月27日の衆議院本会議における賛成討論と反対討論の模様を書き起こしたので是非ご覧いただきたい。今回は「無所属の会」の黒岩宇洋衆議院議員による反対討論である。

黒岩宇洋氏
「無所属の会の黒岩宇洋です。私は、ただいま議題となりました入管難民法改正案について、反対の立場から討論を行います。まず、反対の理由として、与党の想像を絶する強引な委員会運びがあげられます。昨年から続く安倍官邸、政府の立法軽視がさらに顕著になり、官邸の下請けと化していく法務委員会を憐みさえ感じ、脱力感を覚えました。たった4日の審議日程のうち、4分の3にあたる3日が委員長の職権だて、半分の2日が定例日外、ちなみに法務委員会の歴史上、定例日外開催は初めての前例となり、それも月曜、木曜と定例日外がフル稼働。これでは戦時中の月月火水木金金です。結果、祝日、土日3連休をはさんでも丸一週間で重要広範扱い議案が衆議院を通過しようとしております。政府質疑は合計14時間で、その間の理事会、理事懇に費やされた時間と同程度、これがいかに尋常ではないかは与党議員の皆さんでもお分かりになるでしょう。こんな採決ありきの日程で生煮えどころか煮込む素材が出そろう前の採決では、到底十分な審議といえたはずがありません。

次に中身もひどいものです。特段指摘しなければならないのが受け入れ見込み分野と、その受け入れ見込み人数です。分野については現段階で定義もはっきりしない業種という形で各省バラバラの理解のもとに14業種が要望として4省から上がっております。各省の所管業種全般に対して、どのように要望を募ったのか、どのような手法でこれらの業種が選別されたのか、選別されなかった業種があるやに聞いておりますが、選別されなかった理由などまったく判然としていません。これがこのまま、この業種が省令として明記されるようではまさに特定技能分野利権ができあがってしまうでしょう。受け入れ見込み数は5年後の人材不足数から生産性向上による人手確保と国内人材確保と2つの数字を引いて求められます。すなわち、3つの数字が客観性と合理的で精緻な積算根拠に基づかなければ相当幅のある、言い方を変えればいい加減な受け入れ見込み数となる仕組みとなっています。5年後の人材不足数の積算根拠でいえば、厚労大臣が予算委員会で答弁した有効求人倍率を用いている業種は14のうち、たったの3つにすぎません。生産性向上については14業種のうち、11業種が年率1%向上という何の根拠もないまま4省を横断して同じ数字を用いております。国内人材確保は14業種のうち、その人数を数式など数的根拠で示した業種は1つもありません。農業にいたっては、国内人材確保8万人の根拠が元々ある2023年までの目標数という見事なまでの精緻な積算根拠、人をバカにしてもらっては困ります。これでどうやって受け入れ見込み数、おおよその上限を国民に納得させられるのでしょうか。理解不能です。

最後に出入国在留管理庁について一言申し上げます。法務省からすれば短期的には組織が拡大され、ポストも増え、飴玉をぶら下げられたと思っているかもしれません。しかし、中長期的にみれば大変厳しいしっぺ返しを食らうでしょう。外国人労働者の在留管理を300人規模の組織でまかなうことなどできるはずがないからです。今後も外国人労働者の雇用、生活環境にまつわる問題、広く人権問題があらゆる場面で勃発します。その責任を一手に引き受けるリスクを法務省は理解しているのでしょうか。今法案の問題点はまだまだ限りなく存在します。今後の政府基本方針、分野別運用方針、法務省令という地下3階部分に眠るこの政府の本質が真っ暗闇のままの今法案に断固反対することを申し上げて、私の反対討論を終わります。ありがとうございました」

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