外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法改正案、いわゆる「移民法案」が11月27日、衆議院を通過した。自民、公明両党は日本維新の会と改正案の修正で合意しており、会期内成立を図って来年4月の新制度導入を目指す。言論ドットコム編集部は、11月27日の衆議院本会議における賛成討論と反対討論の模様を書き起こしたので是非ご覧いただきたい。今回は共産党の藤野保史衆議院議員による賛成討論である。

藤野保史氏
「私は、日本共産党を代表して入管法等改正案に断固反対の討論を行います。反対理由の第1は、議会制民主主義を踏みにじる審議の進め方です。本案の審議は21日の法務委員会ではじまったばかりであり、審議すればするほど問題が明らかになっています。世論調査でも日を追うごとに今国会の成立にこだわるべきではないという意見が増え、いまや8割を超えています。いま国会がやるべきことは、この国民の声にこたえて、徹底的な審議を行うことです。ところが政府・与党は安倍総理の外遊日程にあわせて委員会の審議日程を決め、本案を採決しようとしています。これは、国会を政府の下請け機関におとしめるものであり、言語道断です。

第2に本法案が人手不足を理由に外国人労働者を雇用の調整弁にしようとしていることです。本案は、受け入れ業種や規模、人数など具体的なことはすべて省令以下にゆだねる白紙委任法であり、法案の体をなしていません。

本案で新設される特定技能1号の在留資格は1年ごとの更新制です。また、在留の前提となる雇用契約は1年以下、たとえば3カ月の短期契約も可能です。さらに派遣契約も排除していません。結局、本案は5年を上限として雇用契約や在留期間を短期で繰り返し、外国人の非正規労働者をつくりだすものです。これは外国人労働者を雇用の調整弁とするものにほかならず、断じて認めることはできません。

第3に、本法案が安価な労働力としての技能実習制度を使い続けるためにウソにウソを重ねる欺瞞的な法案となっている点です。政府は、技能実習制度について国際貢献を建前としつつ、実際には劣悪な労働条件で働かせています。本音と建て前を使い分ける欺瞞的な受け入れを続けてきたことが矛盾を拡大させ、多くの実習生を苦しめています。安倍総理は本法案で技能実習生の実態が改善されるかのような答弁をしていますが、本法案には実習生の処遇を改善する規定は1つもありません。参考人質疑では、母国や日本国内でのブローカー規制がまったくない。あるいは人材派遣ビジネスが横滑りしてくるのではないかなどの指摘が相次ぎましたが、こうした課題は野放しのままです。本法案は、実習生からの移行を前提にしています。実際、受け入れ先14業種のうち13業種が実習生からの移行を前提とし、その多くが8割から10割の移行を見込んでいます。山下貴司法務大臣の半年遅れれば数万の方々が帰国してしまうという答弁は、本案が今ある技能実習生を使い続けようとするものであることを如実に示しています。

失踪した技能実習生からの聴取票は、実習生の実態を解明する上で不可欠の資料です。その提出を政府与党が拒否する中でも野党が884枚の聴取票を調べたところ、86%が最低賃金割れだということが明らかになりました。暴力やセクハラなど人権侵害も浮き彫りになっています。こうした実態を踏まえて徹底審議を行うことこそ国会の責務です。劣悪な状態にある技能実習生をそのまま使い続けるために本法案を無理やり押し通すことは二重三重に許されません。このことを強く主張して討論を終わります」

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