外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法の改正案が衆議院で採決され、論戦の舞台は参議院へと移った。

 改正案は人手不足に対処するために、一定技能が必要な業務に就く「特定技能1号」と熟練技能が必要な業務に就く「特定技能2号」の在留資格が新設され、外国人労働者の受け入れを拡大するというものだ。

 外国人労働者の受け入れ拡大は我が国では賛否が分かれ、国会も国民も世論が二分されている状態だ。在留資格新設が急に登場した話であり、来年4月の実施時期まで時間が少なく議論するのに不十分という面、さらに移民問題へとも繋がる議論になるだけに世論が二分されるのはある程度は仕方がない。

 最新の世論調査(読売新聞:2018年11月26日)では、外国人労働者の受け入れ拡大に「賛成」48%、「反対」42%と賛否は拮抗している。また、入管難民法改正案に対する考えは「今の国会で成立させる」9%、「今の国会での成立にこだわらずに議論する」73%、「廃案にする」14%となっている。

 外国人労働者受け入れ拡大の背景には、少子高齢化に伴う人口減少が我が国を取り巻く諸問題(経済、財政、社会保障、労働)にあらゆる面で影響を及ぼしているという実態がある。

 2018年1月1日現在の日本人の人口は1億2520万9603人と前年より37万4055人も減少し、9年連続の減少となった。外国人を含めた日本の総人口も1億2770万7259人と前年より19万9827人も減少した。一方、外国人住民は249万7656人と前年より17万4228人も増加しており、日本人の減少分を増加している外国人住民が幾分かは補っている。

 また、人口構造の内訳は65歳以上の高齢者が人口の27.6%を占め3462万9983人、15歳から64歳までの生産年齢人口は7484万3915人。15歳以下は1573万人5692人となっている。

 人口減少、特に生産年齢人口の減少は日本の産業界に大きな影響を与え、日本生命保険が今年7~9月に行った調査では人手不足を感じている企業の割合は「全体的に」、「一部の人材・職種」の合計で全国平均62.%になり、関東以外の地域では全て全国平均を上回った。また、東京商工リサーチのデータでは2017年1月から突如、倒産の理由として「人手不足」という言葉が現れ、同12月からは「求人難」という言葉が毎月理由としてあげられるようになった。このような背景が外国人労働者に頼らざるえない状況を作りだしている。

 また、生産年齢人口に対する高齢者人口の割合は43.9%に達し、このまま少子高齢化が続けば、この割合は益々高まり年金財政にも直撃し、財政赤字を膨らませる原因にもなる。日本にとって人口減少を食い止める事は喫緊の課題であり、子育て支援を充実して出生率を上げるべきだという議論もあるが、生まれてきた赤ちゃんが生産年齢人口に達するまでに最短でも15年もかかる。

 さらに、日本の少子化の要因は結婚した夫婦が子どもをもたなくなった事によるものではなく、結婚をしない人の割合が増加したことであり、出生数が大きく改善され人口減少に歯止めをかける見込みは今の状況ではほぼない。

 国内の少子化対策、子育て支援の充実は必要だが、冷静に分析して、日本の人口減少を止める為には外国人に頼らないといけないということを我々はしっかりと理解すべきだ。

 どこかで、「移民は怖い」というイメージがあるせいか、人口減少問題に対する本質的な議論が進まない。そして、日本的な本音と建前論の中で「外国人技能実習生」や「外国人労働者」という言葉が独り歩きしている。今の日本には彼ら外国人を我々の都合の良いように利用しようとする思いが透けてみえる。

 現在、日本では約128万人の外国人労働者が働いている。外国人労働者を受け入れる方法としては、外国人技能実習制度、就労ビザがある。それに外国人留学生によるバイトも加わる。大半の外国人労働者は外国人技能実習制度を利用して来日している。

《2 「日本のカタチを一大転換する」に続く》

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元参議院議員 外山イツキ
1976年4月生まれ。宮崎県出身。英国立エセックス大学社会学部社会学科中退。参議院議員秘書を経て、2007年に参議院宮崎選挙区で全国最年少当選。参議院予算委員会委員、沖縄・北方特別委員会理事、参院国対副委員長などを歴任。与党時代は、陳情要請対応本部の副本部長を務め九州各県の予算獲得に尽力した。
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