新たな年を迎えました。年男になった本年は期するところがあります。

 昨年、最重要テーマとして取り組んできた児童虐待防止について、今年もこの問題にしっかり取り組む決意です。

■無所属の時間を生きる

 無所属となって半年が経った。城山三郎氏は、『無所属の時間を生きる』という随筆の中で、「無所属の時間というのは、人間を人間としてよみがえらせ、より大きく育て上げる時間ということではないだろうか」と記している。到底、その境地には達していないが、全ての採決を自らの責任で行う中で、政治家としての理念・政策を再確認することができた貴重な時間ではあった。

①    内政は弱い者の立場に立つ

②    外国人やLGBTを含め、多様性(ダイバーシティ)を大切にする

③    外交安保は現実主義に立つ

 私が大切にしてきた政治理念だ。一昨年、この理念を実現するために、安保法制違憲論に舵を切った民進党を離れ、希望の党を立ち上げた。現実的な二大政党の実現を目指してチャレンジしたことに悔いはない。希望の党の解党は無念ではあったが、国民が野党第一党として立憲民主党を選んだ以上、やむを得ない。

 無所属議員には、国会の本会議や委員会での発言機会はほとんど与えられない。しかし、国会に議席を得ている以上、無為な時間を過ごすことは許されない。私は、テーマを絞り込み、超党派の議員連盟などを通じて政策の実現を図る方法を取った。党の会議は皆無、支援団体の会合に呼ばれる機会も減った。その時間を「弱き者」のために役立たせたいと考えた。

■児童虐待を親として捉え直す

 虐待を受けていた5歳の女の子が、「おねがいゆるして――」と書き残して、亡くなるという痛ましい事件が起きた。結愛ちゃんのノートの存在が明らかになった昨年6月と比較すると報道は激減したが、熱心な議員が集まり対応を議論してきた。

 取り組みを続ける中で、コーポレート・ペアレンツ(社会的共同親)という概念を知った。京都府立大学の津崎哲雄教授によると、『家庭生活をはく奪された子らに国家・社会が提供すべき支援は、実親が子に行う親業と同等でなければならず、それを自治体が責任を持って提供する』というものだ。

 実践されている英国では、地方議員が選挙民子弟の社会的養育状況、委託児名・委託先などを把握しておらねばならず、随時委託先を訪問し最善の利益が確保されているかどうか掌握するよう求められているとのこと。徹底している。

 目を開かれる思いがした。私が児童養護施設、虐待、子どもの貧困などに取り組むようになったのは、超低体重のため生後10日で命を落とした娘のことがあったからだ。票と資金がものをいう政治の世界にあって、こうした問題に取り組む議員は多くない。結愛ちゃんのようなケースがあると世論は沸騰するが、長続きしない。私自身には明確な動機があり、継続して取り組んできたが、「コーポレート・ペアレンツ」、すなわち、子どもたちの親と同等の気持ちで関わってきたかと問われれば、そうではなかった。今度こそ、結愛ちゃんの犠牲を絶対に無駄にすることはできない。

■児童相談所をもっと身近に

 政府は、社会保障審議会の社会的養育専門委員会「市町村・都道府県における子ども家庭相談支援体制の強化等に向けたワーキンググループ」を立ち上げ、児童相談所改革や自治体の体制などについて昨年末取りまとめた。(https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000465189.pdf)議連では、頻繁に厚生労働省と意見交換を重ねてきた。

 最優先課題は、虐待にあった子どもの最初の窓口となる児童相談所の増強だ。児相が開いているのはウィークデーのみで、土日や夜間は窓口が閉ざされている。児童相談所にたどり着いたとしても、一人の児童福祉司が抱える子どもの数は平均50人ほど、多いところでは100人近くになる。とても親代わりができる体制ではない。

 まずは、児相をできる限り身近なところに設置することを考えるべきだ。南青山の児相の設置について、反対する声があることに危機感を持つ。欧米では、社会的な成功者が里親をしているケースが少なくない。反対は一部の声であって、日本のセレブがそこまで堕ちたわけではないと信じたいが。

 子育て支援を担当するのは市町村で、児相を持つのは都道府県と政令市という地方における縦割りを解消していくべきだ。住民と最も身近に接しているのは市町村なのだが、児相を持たないため、児童虐待については当事者意識がどうしても薄くなる。

 明石市は、今年4月に児相を設置し、子育て部門と一体的な運用を開始する。他の中核市も続いて欲しいと思うが、残念ながら動きは鈍い。まずは、中核市への児相の設置の義務付けが必要だ。一般市については、政府のワーキンググループで、全市区町村に「子ども家庭総合支援拠点」を設置する方向性が示されたことは評価できる。ここが市町村の虐待に関する拠点にもなり、要保護児童対策地域協議会を通じて児相と一体となって対応する体制を早急に作る必要がある。

《2 「児童相談所の機能強化を》に続く

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衆議院議員 細野豪志
1971年生まれ、滋賀県出身。京大法学部卒業後、三和総研(現東京三菱UFJリサーチ&コンサルティング)研究員を経て、2000年の衆議院選挙で初当選。2011年、首相補佐官、東日本大震災対応で原発事故担当大臣、環境大臣。2017年 民進党を離党し希望の党設立。希望の党解党に伴い現在は無所属(7期目)。衆議院静岡5区
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