6月12日の米朝首脳会談実現を受けて、各国の動きがめまぐるしいが、その中でも中国の「関与」は際立っている。習近平国家主席はその1週間後に北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を中国に招き、3度目の会談を行った。3月に北京で初めて会談し、5月には東北部・大連でも顔を合わせている。わずか3カ月間で3度の会談には、生き馬の目を抜く早さで進展する朝鮮半島情勢で存在感を発揮し続けたいとの中国の意向がうかがえる。

 6月19日、訪中した金委員長と会談した習国家主席は、歴史的な米朝首脳会談の結果が「前向き」なものであるとして、歓迎する意向を表明した。朝鮮半島の非核化を含む平和メカニズムをめぐる動きは「喜ばしい」ものであるとし、友好関係がある北朝鮮に対する姿勢は不変であるとの認識を示している。

 伝わってくる3度目の会談内容は、それまでの会談からやや踏み込んだものと見る向きは多い。例えば、2度目の会談の模様を伝えた5月8日の中国国営新華社通信の記事を読むと、金委員長は3月の会談から「急速に発展した」地域情勢について「状況を説明」しに来たのだと述べた。これに対し、習氏は3月の初会談の成果を強調し、北朝鮮が「(朝鮮)半島の非核化(の方針)を堅持することを支持する」と表明した、というものに過ぎなかった。
 
 だが、6月の訪中時は、中国メディアが「事後」ではなく、「ほぼ同時」に訪中を公式報道する異例の対応をとっている。中国メディアは、習国家主席が中朝関係を発展・強固にしていく確固たる立場を示し、金委員長は「習主席は尊敬し信頼できる偉大な指導者」であると述べたとした上で、2人が日朝友好関係の強化で一致した、などと報じた。中国側からすれば、北朝鮮の若い指導者の「後ろ盾」としての役割を示すことで、朝鮮半島情勢をグリップしている姿勢を示したということだろう。

 中国から見て、南北朝鮮の融和は好ましい。韓国が北朝鮮の弾道ミサイルに対抗するため、米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備を容認した際、レーダーの探知範囲に含まれることを嫌う中国は、露骨な経済制裁を韓国側に発動し国際社会の批判を受けた。南北融和の結果、韓国側から北朝鮮に経済支援が行われれば、大量の難民の発生によって中国にも甚大な負担をもたらす北朝鮮の崩壊を避けることができる。

 同様に、米朝の融和も望ましいはずだ。米国による北朝鮮への武力攻撃は、難民などの経済的な負担にとどまらず、中国国内からの批判にさらされ、習体制が動揺する事態に発展しかねない。場合によっては、米国との直接の武力衝突の可能性すら生起させかねない。米国が主導する対北朝鮮制裁では、中国が「抜け道」とされ、国際的な批判の目にさらされてきた。米朝首脳会談の結果、北朝鮮の体制が保証され、経済制裁が緩和されるのであれば、中国への風当たりも弱くなるはずだ。

 ただ、南北朝鮮の融和ムードが過度に進み、朝鮮半島の統一が、単なる「ご祝儀」ではなく、真剣な議題として検討され始めることは避けなければならない。南北の経済格差から見れば、統一は韓国主導で進む。その際、もし米韓同盟が解消されなければ、米軍の影響力が中朝国境を流れる鴨緑江にまで及ぶことになる。こうした事態を避けるため、中国は南北、米朝双方の対話が進むたびごとに、自国の意向が反映できるよう働きかけを続けるだろう。

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