深圳 超すごい!日本は中国に負けた!

なんて言われ方が始まったのはつい数年前、2017年ごろのこと。

「なんだか中国のシリコンバレーと呼ばれるテクノロジーがとても進んでいる町があるらしい。」
「秋葉原の30倍はある大きな電脳街があるらしい。」
「ドローン輸送や自動運転も始まっているらしい。」

「やばい、もう日本遅れてる。勝てない。」

。。。といささかセンセーショナルに書き立てた記事が流行した。

それ以来、どうも深センというのは日本人のコンプレックスを刺激するらしい。なにせテクノロジーではずっとアジア1だと思ってたのに。すぐそばの中国にそんな未来都市ができたというのだから。

そのコンプレックスの裏返しなのか、ことあるごとに「深圳の技術はー」と引き合いに出す”深圳シンドローム”に取り憑かれた深圳信者達も現れた。

深圳の街角

深圳という名前もすっかり日本人の間に定着したようで、いまでは中国の都市といえば、北京、上海、、、の次あたりに名前が挙がるだろう。
(実際には北京、上海、広州、深センで中国4大都市という。)

本当にどれくらい進んでいるのか冷静になって見てみよう

ところが、実際深圳の街並みを歩いていても、別にドローンが空を飛び回ってないし、街並みも別段それほど未来っぽくもない。自動運転の実験なども一部、福田保税区(税関の管理する特別地区ですが、一般人も普通に入れます。)などでスタートはしたのだが、現在では終了してしまっている。セグウェイ的なパーソナルモビリティもそれなりに見かけるが、めちゃくちゃ多いというほどでもない。

日々の中で進んでいると感じられるのは、

支払いはすべて携帯でできる、店内の注文なども携帯からできる。
レンタル電動自転車サービスなどのモビリティが一般化。
配食サービスが発達している。
タクシーは携帯で配車し乗って携帯で支払い。
バスやバイクはほとんどすべて電動で静か、公害も少ない。

といったところだろうか。

もちろんこれらただ日々の見かけ上だけのことじゃなく、ハードウェア製造のサプライチェーンや起業しやすいビジネスエコシステムが整備されているという部分などたしかに先進的なところは多数ある。


サービスアパートメントの鍵。申し込むとWe chatでQRコード型の鍵が送られてきて、それをドアにかざすと部屋に入れる。 カードや鍵類を持ち歩く必要がないというのはかなり快適
珠海市のバス充電駅、バスターミナルにはこのように充電駅がある

別に深圳が特別な訳じゃない

そして、上記のことは別に深センに限ったことじゃなく、中国の大都市では実は普通のことだ。深センから、広東省の都市、広州や東莞、中山、珠海といった陸続きの都市も発展度は大して変わらない。1億人の人口を抱え、GDPでは韓国やスペインと並ぶ、ほぼ一国といっていい規模の広東省。そのほとんどが少しだけ未来へ進んでいる。それどころか雲南省などの内陸の離れた場所でも当然のようにこの便利さを享受している。

広東省中山市の街並み
広東省中山市の街並み
雲南省大理ペー族自治州のバス車内。少数民族の人々も携帯でさっとバスに乗り込んでくる

実は技術は普通のものばかり

ところで、上述の深センの便利ポイントをよくみてみよう。支払いが携帯でできる、というのはQRコードというそれほどハイテクではない技術を広めただけのことだ。タクシーの配車や相乗りなんてUberやGrab taxiがある国では当然の日常だ。セグウェイ的な乗り物も実は結構いろんな国で見かける。

あれ?どうも逆に言えば、深センや中国がすごいだけのではなく、なんでこんな簡単なことが日本ではできないのか??と考えた方が良いのでは。。。。?

駅備え付けのレンタル傘
レンタルバイクが町中に

デジタル技術に対する高い信頼

中国と日本で大きな違いを見せるデータがある。

それは「技術に対する信頼」だ。

何を言っている、だいぶ錆びてきたとはいえ、まだまだMade in Japanの技術は高性能の代名詞だろう?Made in
Chinaは世界ではそんなに信頼されてないじゃないか。とおっしゃる方も多いかもしれない。

いや、ここでは逆の話、「技術の信頼性」ではなく、「技術に対する信頼」だ。

中国のデジタル技術への信頼は確かなデータがある。

「デジタル技術を使って、世界をより良い場所にできると考えるかどうか」(英語)
https://www.weforum.org/agenda/2018/10/digital-distrust-we-re-losing-
faith-in-technology-to-solve-the-world-s-problems

中国は71%ができる、と回答しているのに対し。その他各国は、アメリカ、フランス、ドイツなど30-50%程度。日本は最下位で22%となっている。

中国の消費者、自動運転に強い関心

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180419/mcb1804190500006-n1.htm

さらに自動運転に対する理解や期待も世界一高く、最大の自動運転国になると予想されている。(それを先取りしてかどうか、テスラも大人気で、実際に走っている姿やディーラーも見かける)。そしてこの自動運転に対して、最も消極的なのは日本である。

「国内のハイテク産業についてもっとも中国が信頼している分野」(英語)
http://www.chinadaily.com.cn/bizchina/tech/2017-02/10/content_28156936.
htm

さらに携帯をはじめとしたMade in chinaに対する信頼性も高い。

こういったデータから、とにかく中国は技術が大好きで、そのよりよい未来を素直に信じているという姿が見える。

反面、日本は、技術が嫌いで、信頼できない、という層がかなりいる。かっての技術大国がなぜか技術嫌い。近年国内で叫ばれる、技術者軽視の姿勢、などとも関係があるだろう。

そのため、皆が同じ方向の未来を見られないから、たとえば、決済システム一つとっても関係者の意見を整理できない。そうして、あらゆる決定が遅くなる、という悪循環にはまっている。

そう、日本は「技術の信頼性」で負けているのではなく、「技術への信頼」で負けているのだ。

自動レジで会計する人々

極めて保守的な国になりつつある日本

広州での会食の席で、中国人の地元出身の実業家の方と話をする機会があった。年に数回は日本に何度も観光に行く、坂本冬美や谷村新司が好きな、日本びいきの実業家だ。

「日本はとても好きだよ。綺麗だし、食事は美味しいし、人は親切だし、ホテルなんかのサービスのレベルもすごく高いからね。」

日本を褒め、悪い印象は一切口にしなかった。でも一言だけこう言ったのが印象に残っている。

「でも、日本人はとても『保守的』だよね。そこが中国と違う。」

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バイラルワークス 早川大地
1977年東京生まれ。アプリ・音楽・メディア制作を行う株式会社バイラルワークス代表。自身もエンジニア、音楽プロデューサーとしての顔を持つ。現在は東南・東アジア、欧州、中米など1~2カ月ごとに国を移り、十数カ国を渡り歩く「移住生活」を行っている。