言論ドットコム編集部は今回、現役の国家公務員と共に【イマドキの公務員シリーズ】をスタートしました。何かと話題になることが多い「国家公務員」について、なるべく平易な言葉で、わかりやすく、行政のあり方の議論の材料となるようなものをお伝えしていきたいと思います。第4回は、幹部人事の読み解き方についていくつかの例をまじえつつ説明したい。

幹部官僚とは?

 幹部というと室長以上を指すことが多いが、指定職と呼ばれる局長や部長以上の職員のことを指して幹部と表現する場合も多い。このページでは指定職について言及したい。

 まず、国家公務員の給料表は多数の種類があるが、国会答弁などに立つ局長・部長や事務次官などの給料表は『指定職俸給表』と呼ばれる。下記の通りだ。

(出典:https://www.jinji.go.jp/kankoku/h23/pdf/23kyuuyokankoku.pdf) 

文部科学省を例にして読み解く

(出典:https://www.jinji.go.jp/gaisannkyuubetu/31teisuuhyou.pdf

 昨今、いわゆるノンキャリアと呼ばれる職員が局長に抜擢された文部科学省を例にしてみよう。各省庁とも基本的な構図は似ており、下記のように給料が充てられている。

事務次官:8級

省名審議官(例:文部科学審議官):7級

上級の局長:5級

下級の局長:4級

総括審議官等:3級

部長、審議官:2級

比較的小さい規模の地方支分局の長等:1級

 指定職の人事は1年で0-3級程度上がる。

 文部科学省において、大臣官房審議官(初等中等教育局担当)から初等中等教育局長になった丸山洋司氏の場合は2級から5級に上がったことになる。この丸山氏は高卒で大学職員になって文科省に転籍して局長に初めてなった人物である。

 なお、局長にも上級の局長と下級の局長がある。一般的には政策統括官と呼ばれる局長級分掌職は4級にされることが多い。

政策統括官と局長の違い

 国家行政組織法において局の数は96以内にすることと書かれている。したがって、実質的に局なのだが局が置けない場合に政策統括官を使うということになる。したがって、機動的な対応という言い方をすればいいが政策統括官は局長もどきという言い方が正しい。

同じ級の局長でも格の違いがある?!

 局長にも序列がある。一般的には『筆頭局』と呼ばれるものは偉い。さらに『建制順』という法令に記載されている順番に偉い場合もあるが、その時々の重要政策にもよって順番は流動的だ。

省庁さまざま:国土交通省の道路技官の場合

 いくつかの例を見てみよう。例えば、国交省の場合は、道路局と河川局は局長は技官がなるという不文律がある。

『本省の課長⇒本省審議官、地方整備局長⇒道路局長⇒技監⇒事務次官』

というめちゃくちゃできる道路技官の定番コースがある。

 これらの特定のポストに国交事務官がつくことはまずない。それだけこの分野は専門性がいることも意味しているし、事務官・技官のパワーバランスを考慮しているものだ。

省庁さまざま:財務省の場合。いろんな畑がある。

 財務省のケースは関心をもつ読者も多いだろう。

事務次官:8級

国税庁長官、財務官:7級

主計局長:6級

官房長、主税局長、財局長、国際局長:5級

関税局長:4級

となっている。これを読み解くには少し前提知識がいる。

主計局は偉い

畑がある

 この2つを頭にいれておくとよい。①は各省庁の予算の査定権限をもつ主計局は基本的に偉く事務次官になるのはここの局長経験者が通例だ。その1つの証拠に主計局長は6級ということで他のあらゆる局長よりランクが上なのである。②は主計畑、主税畑、国際畑といったキャリア形成ルートがあることをおぼえておいてほしい。

<主計畑の場合>

主計局主査(主計官補佐) ⇒ 主計官や理財局の財政投融資総括課長 など 

⇒ 主計局総務課長、官房総務課長 など ⇒ 主計局次長、官房総括審議官 

⇒ 官房長 ⇒ 主計局長 ⇒ 事務次官

 

<主税畑の場合>

主税局の各ポスト ⇒ 主税局審議官 ⇒ 主税局長 ⇒ 国税庁長官 

⇒ 内閣官房副長保管補(内政担当)

 

<国際畑の場合>

国際局の各ポスト ⇒ IMFやOECDなどの国際機関 ⇒ 国際局審議官 

⇒ 国際局長 ⇒ 財務官 ⇒ 国際機関の長(通貨マフィア)

 主な例をあげてみた。これをみると、財務省としては事務次官を多くの職員が競うというのはあながち間違えではないが、主計局のトップが事務次官、主税畑のトップが内閣官房副長官補、国際畑のトップは通貨マフィアというのが通例であり、次官級に相当するポストを多数もっており、それぞれの畑で分け合っているという構図になる。

 財務省の場合は、ざっくりいえば同期のNo.1が事務次官、No.2~4が国税庁長官、財務官、他省庁事務官(現在だと環境省等)についている。

 上記で出てきた環境省については元々環境庁ができてから大蔵省と厚生省でたすき掛けで事務次官を排出してきた歴史があり、現在も昔とは少し形を変えて残っている。

 少し前の鈴木正規元事務次官や現在の中井徳太郎総合環境政策統括官がそれにあたる。

 鈴木元事務次官は財務省の真砂元事務次官と事務次官争いをした主計畑の出身であり、できる人が環境省に送り込まれていた。おそらく、まだ省になって20年弱の組織のてこ入れの意味もありつつ、財務省のポストを確保するという2つの側面があると思われる。

まとめ

 以上書いていけば、各省庁の色々な歴史や事情が垣間見れるが、いったんこのあたりにしたい。どのような記事が求められているかも見つつまた検討してまいりたい。

 この記事でお伝えしたいのは、組織の基本を知っているとそれからずれた時に何があったかわかる。普段はさえない理財局長にエース級の職員が投入されれば、それは立て直しを意識したということもわかる。

 そういう人事の目線からの組織マネージメントの基本的な背景をご理解いただくことで、普段流れているニュースを見る視点がより鋭くなり、仮説をたてて自分の頭で考えやすくなる。その手助けができれば幸甚である。

ではでは、このへんで。

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