厳しい暑さが日本列島を覆い全国各地のプールは盛況となっている。今週からは多くの小学生たちが待ちに待った夏休みに入るが、大きなリュックサックを背負って子供たちの向かう場所はプールではなく、海水浴場でもない。駅前に位置する大手進学塾というケースも目立つ。中学受験した者ならば経験のある夏期講習のスタートだ。希望する中学校への進学を目指して子供たちはしのぎを削る。だが、厳しい環境に身を置いているのは生徒だけではない。少子化に伴い、進学塾サイドも熾烈な塾生獲得競争に燃えている。大手進学塾の熱い戦いの今を追う。

 「こんにちは!」。東京でもっとも人口が多い世田谷区にある大手進学塾は、午後から夕方にかけて元気の良い挨拶の声が響き渡る。塾の前には生徒たちの自転車がずらりと並び、目の前のガラスには「〇〇中学 〇人合格」といった実績を誇示する紙があちらこちらに張り出されている。今週末からは、いよいよ夏期講習が始まり、夏休み中に夏期合宿に参加する生徒も少なくない。

 塾の男性講師は「学校が長い間休みの夏期は集中的に勉強できる最高の時間。この時期にどれだけ蓄積できるかが勝負。ここで頑張らなくて、いつやるの?ということだ」と汗をぬぐう。

 受験勉強に励む生徒たちだけでなく、スタッフ陣にも熱気が満ちているのは、少子化の影響もあって塾生の獲得競争が熾烈さを増しているからだ。確実に少なくなっていくパイを進学塾同士が奪い合う。「中学受験の準備は4年生からスタートするのでも遅いくらいになった。1年生から通っている生徒もいる」と別の進学塾スタッフの女性は語る。土曜日の「補講」やオプションのマンツーマン指導など、様々な特色をアピールしながら「お客様」獲得に悪戦苦闘している塾も多い。

 だが、子を持つ親にとって気になるのは、やはり「塾の成績」だろう。もちろん、それぞれ相性が合うあわないがあるものの、目指している中学への合格者数が多い進学塾は魅力的に映る。

 2018年、大手進学塾の中学入試合格者実績はどうだったのか。ここでは「SAPIX」「早稲田アカデミー」「四谷大塚」「日能研」の4大進学塾に絞り、難関校の合格者実績を見ることにしたい。

 まず、誰もがその難度の高さを知る「開成中」は、SAPIXが263人合格と際立って多い。四谷大塚103人、早稲田アカデミー93人、日能研42人と続くが、この傾向は最難関校として有名な「筑波大附属駒場中」や「桜蔭中」でも当てはまる。SAPIXはそれぞれ最多の85人、164人だった。

 早稲田アカデミーは「武蔵中」(67人)などでトップ。四谷大塚は「ラ・サール中」(231人)、日能研は「灘中」(56人)などで、それぞれ4大進学塾では最も多かった。

 ピカピカの1年生になったかと思ったら、すぐに進学塾に通い始める「スーパーキッズ」も珍しくない時代になった。日本の未来を担う「天才」たちに期待したいと思う一方で、公園や川原などで目一杯遊ぶ子供たちの姿が少なくなり、寂しくも感じてしまう今日である。

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