7月20日から公開されている劇場版アニメ「未来のミライ」は、毀誉褒貶相半ばするスタートとなった。「時をかける少女」(2006年)や「バケモノの子」(2015年)などのヒット映画を生み出した細田守監督の最新作とあり、その期待値は高かったが、ネット上では「微妙」「駄作」が検索ワードにあがる。80を超える国と地域に配給が決定している話題作に何が起きているのか。

 ストーリーは、両親の愛情をたっぷり受けていた甘えん坊の4歳の男の子「くんちゃん」が、産まれてきた妹に嫉妬するところから始まる。ある時、庭に出た「くんちゃん」は妹と同じ手にあざを持つ少女と出会う。それは、未来からやってきた妹「ミライちゃん」だった。嫉妬心から妹を嫌いだった「くんちゃん」だが、時をこえて「ミライちゃん」とさまざまな冒険をすることにより、家族愛を知っていく内容だ。星野源や麻生久美子、役所広司や福山雅治といった豪華な俳優陣が息を吹き込むことでも話題となった。

 だが、ネット上の評価は予想外に厳しいものが目立つ。検索ワードには「微妙」や「駄作」といったものがあがり、「今までの細田守作品とは異質」「盛り上がらないまま気がついたら終わっていた」などの声が相次いでいる。もちろん、「愛を考えさせられる本当に素敵な作品だった」「見終わった後に家族に会いたくなった」などと好意的な評価もあるが、なぜ辛辣な声が続いているのか。

 20日の公開後、最初の週末となった東京都調布市の映画館。「未来のミライ」を上映するスクリーン前は、ほぼ満席となっていた。「くんちゃん」と「ミライちゃん」が織りなす笑いあり、涙ありのシーンの数々に観客は入り込んでいる。鑑賞する人々の年齢層はバラバラで、子供連れから年配の男女まで楽しみに来たようだ。

 ただ、上映後の雰囲気は「バケモノの子」などの名作のものとは異なる。余韻に浸るようにしてスクリーンを後にする観客は多くはなさそうで、「面白いシーンはいくつもあったけど、細田作品にしては奥深さがなかった」(30代の男性)、「描かれている『くんちゃん』の世界が狭すぎて、もう少し広がりが欲しかった」(20代の女性)といった声が聞かれた。

 話題の新作には毀誉褒貶がつきまとうものの、待望の細田監督作品だけに期待値が必要以上に上がり、そのギャップに悩まされる観客も少なくないようだ。カンヌ国際映画祭開催期間中の「監督週間」にアニメ作品としては唯一選出され、上映が行われた「未来のミライ」。その高い国際的評価とは異なり、日本国内での評価は現時点で分かれているが、今後は世界各地での配給とともにジワリと人気を上昇させていくことができるのか。その未来は定かではない。

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言論ドットコム編集部

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