1380万人の人口を抱え、ヒト・モノ・カネ・情報が集まる日本の首都・東京。予算規模が一国にも匹敵するといわれるメトロポリタンが抱える問題の1つが、膨れ上がってきた待機児童問題だ。女性の社会進出とともに共働き世帯が増える中で、安心して預けられる保育所が見つからない親は少なくない。これまで東京都内には9千人近い待機児童が存在し、悪戦苦闘するママたちの姿が見られてきた。やはり巨大都市では問題を解消することはできないのか。半ば諦める声が漏れていた矢先、首都に異変が生じてきている。

 東京都の待機児童数は全国ワースト1位だ。それもそのはず、人口も企業も集中し、仕事と家事を両立させる共働き世帯が増加する一方で、これまでの都政は十分な対策をとってこなかった。そこで待機児童の解消に本腰を入れたのは、小池百合子都知事だ。就任直後に緊急対策を打つと、その後も子育て支援策の充実を図ってきた。その結果、2018年4月1日時点での待機児童数は前年に比べ約4割も減少。都内の14市区町村では「待機児童ゼロ」を達成した。8月2日で就任2年目を迎えた小池都知事の待機児童解消プランが奏功している形だ。 

 東京都が7月30日に発表した都内の保育サービスの状況によると、認可保育所や認証保育所など保育サービスの利用児童数は前年比1万6059人増の29万3767人と過去最高になった。

 認可保育所が253カ所増加するなど「保育の受け皿」が拡大し、保育サービスの利用率は6年前から10%超も増加している。その結果、待機児童の数は前年に比べて区部で2313人、市町村部で859人の計3172人減少。今年4月現在の待機児童は5414人となった。減少に転じたのは3年ぶり。5千人台にまで減ったのは2008年以来10年ぶりという。

 都内で人口が一番多い世田谷区では待機児童が最も減少し、前年に比べ375人減った。大田区は322人減、目黒区も287人減と大幅減が続いた。待機児童が前年度から減少した区市町村は34自治体で、杉並区や千代田区、豊島区など14の自治体では「待機児童ゼロ」となった。

 小池都知事の就任2年で効果が現われたのはなぜか。東京都の担当職員は「単に保育所を増やすだけではなく、子育て支援策をパッケージで打ち出してきた。苗を植え、水をまいて、芽が出てきた」と語る。小池都知事は就任直後の2016年9月に緊急対策を打ち出し、①保育所の整備促進②人材の確保・定着の支援③利用者支援の充実―を3本柱に待機児童解消に向けた対策を実施してきた。都有地や民有地、空き家などの活用促進や子育て支援策の充実、認可外保育施設の利用者負担軽減など「待機児童解消のためならば、やれることは何でもやる」(別の担当者)との考えで担当部局に発破をかけてきたのだという。

 その1年後の2017年9月には、東京都独自の賃借料補助の拡充や企業主導型保育の支援、保育所などのICT化促進などの追加対策を放ち、ハード面からソフト面までのメニューが並べられた。「言うは易く行うは難し」というのは世の常だが、2016年夏の都知事選で小池氏がうたった待機児童解消への取り組みは、現在のところ奏功しているといえる。

 例年、希望者が殺到してきた認可保育所は、この1年間だけで1割増え、2811施設に拡大。予算面でも待機児童対策に過去最大の1576億円を計上(2018年度)し、市区町村への保育所整備支援や保育士の処遇改善にも力を入れている。2017~2019年度までの3年間で保育サービスの受け入れ能力を約6万人増やす計画だという。

 諦めかけていた時に届いた「朗報」をママたちはどう思っているのか。目黒区で0歳児を育てる女性会社員(36)をたずねると、「東京都の子育て支援策は、きめが細かく助かっている。女性の視点を持つ都知事が誕生し、ママの気持ちに寄り添ってくれる政策が出てくるようになった。逆に言うと、今までの都政は何をやっていたのかという気にもなる」との声があがった。

 子育て世代への支援を「未来への投資」と位置付ける小池都知事は、2020年4月の待機児童解消を目指しているという。受動喫煙対策条例の成立や、膨れ上がった五輪費用の削減などが功績として語られることが多いが、この待機児童の大幅減もその1つに数えられるだろう。

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