1.グローバル経済の問題点

 米トランプ大統領の自国優先主義は、米国が率先して輸入自由化し、諸外国の製品を買ったことで、米国白人労働者の職場を奪い、対抗上、米国企業も海外に工場を建てて、労働コストを削減せざるを得なかったことによる。

 グローバル経済で、特に中国の製品価格が低く、その製品が世界を席巻したことで、デフレが起きて、インフレが起きにくいことになってしまった。いろいろな製品が安くなり生活がしやすくなっていったが、米国や日本を含め先進諸国の労働者は正規な職を失い、非正規労働者として安い給与で働くことになり、逆に、富裕層は労働賃金が安くなったことで企業利益が増え、貧富の差が拡大した。

 この原因で、米国でトランプ大統領は、この職を失った白人労働者の不満を背景に当選したので、保護貿易で輸入を止め、自国消費製品の工場を米国内に建てさせ、白人労働者の職を確保することが必要なのである。

 米国も欧州も、もう1つ、白人の職業を奪う存在が移民であり、その移民を排撃することになり、海外からの移民を阻止して、米国では海外からの技術者も留学生も止める方向のようである。

 この2つの原因で、欧米の自国優先のナショナリズムが起きている。輸入自由化というグローバリズムが結果として、ナショナリズムを引き起こしているともいえる。

2.摩擦からインフレに

 米国への最大輸入国が中国で、輸入を止める大きな標的が中国となる。年間5000億ドルの中国製品を米国は輸入している。この輸入の半分に25%の関税を掛けると、トランプ大統領は宣言している。

 もう1つ、中国は国家投資のターゲットとして先端技術開発を上げて、米国の先端技術を抜かそうとしている。このため、先端技術を守るために、中国の国家予算による先端技術研究を知的財産権を盾に潰そうとしている。中国は、このような米国の要求を拒否するしかない。よって、当分、米中貿易技術戦争は止まらないようである。

 また、トランプ大統領は、多くの輸入品に高関税を掛けたことで、自国生産製品のコスト上昇と関税で2%以上のインフレになり、FRB(米連邦準備制度理事会)はそのインフレを止めるために、利上げを行っている。これにより、3%程度の金利になり、米国がゼロ金利時代に新興国に流出していたドルが還流して、ドル高になっている。

 ドル資金が逃げる新興国は、資金流出を止めるために金利を上げて資金流出を阻止する必要がある。しかし、金利上昇は経済活動の停滞になるので、トルコのエルドアン大統領はその利上げをしないように中央銀行に圧力をかけたことで、トルコリラは暴落し、歯止めが効かない状態になっている。

3.今後の世界経済は

 トルコリラの暴落でトルコの銀行の倒産などが起こりえる事態になり、安全資産として円も買われ、円高になり株安を引き起こしている。

 もう1つが、米中貿易技術戦争の拡大で、中国の景気後退と資金流出で新興国の経済崩壊など、大きな経済的な転換点に来ている。このように、米国の貿易戦争で世界の良好な景気は棄損され、また、トランプ大統領の政策で世界的な嫌米ムードとなり、米国企業の製品が売れなくなり、米国企業の競争力も大幅に落ちている。よって、米国の景気も落ちていくことになる。

4.今後の経済システム

 このようにグローバル経済は、米国トランプ大統領の貿易戦争で限界にきて、次の経済システムを構築していく必要になっている。そのシステムが、地産地消経済である。この地産地消経済は、日本の地方経済の立て直しのために、考え出されたシステムであるが、それが世界の次の経済システムになりえる。

 その国で消費するものは、その国で作ることが、地産地消経済であり、各国間での関税が高くなるなら日本企業は、製品を輸出するのではなく、技術と資金を出して消費地に工場を建てて、その国で消費するの製品はその国で作るしかなくなる。

 日本企業は、日本の人口減少で需要が減るので、世界に進出しないと売上高が減少することになる。よって、日本企業は、世界に出て、いやでも地産地消経済を実践する必要がある。

 これをすると、その国の雇用が増えて消費も活性化するので、その国からも日本企業は歓迎されることになる。

 さあ、どうなりますか?

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日本国際戦略問題研究所長 津田慶治

日本国際戦略問題研究所長 津田慶治

1975年、東工大制御工学科卒。日本電信電話公社に入社し、つくば博覧会協会で街づくりを経験。通信研究所で人工知能など最先端のコンピューター技術の開発、IBMで米国企業文化に触れる。NTTデータで省エネ技術や米国、中国、インドなどでソフト開発を行い、カントリーリスクから国際問題を研究した。その後同研究所主宰。 1999年から「国際戦略コラム」を主催。国際関係や日本文化を論理的な視点で冷静に評論中。有料メルマガは、まぐまぐ大賞の経済政治分野で2位。
日本国際戦略問題研究所長 津田慶治

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