政府が外国人労働者を受け入れるための新たな「在留資格」を設ける方針を決めた。これまで認めてこなかった単純労働分野での就労を事実上認め、政策方針を転換する。当初は「介護」「建設」「農業」「宿泊」「造船」の5業種に対象を限る考えだったが、産業界からの求めもあり、さらに広げる。少子高齢化による深刻な人手不足を補うのが目的で、2019年4月の創設を目指し、法改正などの制度整備を進める。ポイントは、外国人が期待通りに日本へ来るのか、生活面のサポートや日本語教育をどこまで行うのか、といったところにありそうだ。

 在留資格の新設方針は、2018年6月に政府がまとめた経済財政運営の指針「骨太方針」に盛り込まれた。秋に開かれる臨時国会で「出入国管理及び難民認定法(入管難民法)」を改正し、対応する。

 背景には、働き手の数をあらわす生産年齢人口(15~64歳)が減り、単純労働の現場での人手不足が著しくなっていることがある。政府の2018年版「高齢社会白書」によると、2017年の全産業の有効求人倍率は1・50倍だが、介護分野は3・50倍と突出して高かった。

 政府はこれまで、原則は専門知識のある人材に限って外国人を受け入れていたが、実際には技術の習得目的で来日する技能実習生や、留学生のアルバイトなどが単純労働に使われてきた。日本で働く外国人の数は、2017年10月時点で約128万人に上る。

 だが、技能実習生の活用だけでは現場の人手不足を補えない。そこで、単純労働への外国人受け入れを解禁することになったというわけだ。 新たな資格では、一定の技能や日本語能力を持つ外国人に最長5年、日本で働くことを認める。現在、最長5年となっている技能実習の期間を終えた外国人も、さらに5年、日本で働くことができるようになる。政府は2025年までに新たに50万人を受け入れる考えだ。

 新資格の創設に対しては「事実上の移民政策だ」という批判も強い。「外国人に仕事を与えるくらいなら、失業している日本人の若者の雇用をもっと増やす工夫をしたほうがいい」(与党関係者)わけだ。さらに、現在、単純労働に活用されている技能実習生や留学生が、違法に長時間、働かされたり、劣悪な労働環境に耐えきれず、失踪してしまったりするという問題も目立つようになっている。留学生のための日本語学校の中には、単に働き手を斡旋することだけが目的の悪質な業者も多い。今後、さらに外国人をたくさん受け入れるようになると、こうした問題が顕在化し、社会不安が増す懸念もぬぐいきれない。

 政府はこうした問題意識から今後、入管難民法を所管する法務省に対して受け入れ環境の整備のための「司令塔機能」を与え、在留管理を厳しくする方針だ。上川陽子法相は、法務省の入国管理局の人員を増やし、「入国管理庁」に格上げする考えを検討すると表明している。

 外国人が日本社会で「共生」できる環境づくりも重要になる。地方では日本語が不自由な外国人が職にあぶれているケースも多い。この結果、外国人による生活保護費の受給申請が急増したり、住民税を支払わず行方不明になったりするといった問題も増えている。

 政府は7月の関係会議で示した「総合的対応策」案に、「日本語教育の充実」「教育機関の適正管理」「行政 ・生活情報の多言語化」といったアイデアを盛り込んだ。関係省庁は、対策の具体化に向け検討を加速させる。

 だが、こうした対策も財政負担を国、自治体、企業のどこが負担するのかといった難しい問題がある。外国人に「日本で働きたい」と思ってもらえる環境づくりをどこまでできるのか、政府の手腕が問われることになる。

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