沖縄県の翁長雄志知事死去に伴う沖縄知事選(9月30日投開票)は、翁長氏を支えてきた「オール沖縄」勢力が自由党幹事長の玉城デニー衆議院議員を擁立する方向となった。対する自民党など保守系は前宜野湾市長、佐喜真淳氏を擁立することにしており、沖縄で一定の知名度がある者同士による一騎打ちになりそうだ。「弔い合戦」として注目が集まる今回の知事選はどういう展開になるのか。言論ドットコム編集部は現地取材も踏まえ、現時点での分析を試みた。

■オール沖縄の「再興」はあるか

 翁長氏の急逝は、当初11月に予定されていた知事選の構図に大きな影響を与えた。4年前の前回知事選は、自民党沖縄県連幹事長も務めたことがある翁長氏が出馬したことにより、保守と革新双方から幅広い支持が翁長氏に集まった。翁長氏は保革を超えた「オール沖縄」の象徴となり、当時の現職知事に約10万票差をつけて当選している。その後は民意を背景として、国が進める米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する姿勢を貫いてきた。

 だが、翁長氏の原動力である「オール沖縄」は事実上分裂に向かっていった。共産党や社民党などの革新勢力に保守系の企業などが反発。その足元はぐらついていた。

 2017年10月の衆議院選挙は、小選挙区4つのうち1つを自民党や公明党などが支援する候補に許し、翁長系の議席独占は失敗。2018年2月の名護市長選では、辺野古移設阻止で共闘してきた現職の稲嶺進氏が保守系新人に敗れている。当時、自民党幹部の一人は「『オール沖縄』はすでに瓦解している。知事選は我々が圧勝できる」と自信満々だった。

 県政奪還に燃える保守系に衝撃が走ったのは5月だった。翁長氏がすい臓ガンで切除手術を受け、その病状を公表。治療のため剃り上げた頭髪姿で公務をこなすシーンがメディアで流れるたびに「翁長氏に同情する県民は増えていった」(野党幹部)。沖縄戦が終結した6月23日、「慰霊の日」の追悼式典に出席した翁長氏が「辺野古に新基地をつくらせないという私の決意は県民とともにあり、微塵も揺らぐことはない」と訴えたスピーチは鬼気迫るものがあった。

 厳しい闘病生活が強いられる中、翁長氏は7月下旬、政府に徹底抗戦する決断を下した。「公約」通り、仲井真弘多前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認の撤回を表明したのだ。急逝したのは8月8日。まさに、その直前の決断は命を賭したものと受け止められている。沖縄県内ではその後、地元メディアで特別番組が放送されるなど追悼ムード一色となり、「翁長氏の遺志を引き継ぐ」ことの大切さが説かれている。8月11日に開催された辺野古移設反対の県民大会には約7万人(主催者発表)が集まり、翁長氏を追悼した。分裂状態にあった「オール沖縄」は、翁長氏の死去を受けて再びまとまりを見せつつある。《続く「後継は高い知名度》

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