1.ドル基軸通貨の弱体化

 トランプ大統領の外交政策は、米国の孤立化を引き起こしている。イラン核合意離脱後、米国はイランと経済関係を絶たない企業に対して、ドル決済システム(SWIFT)へのアクセスを禁止するとした。

 しかし、EU各国は、特にドイツ・メルケル首相は、イラン核合意を維持するとしている。しかし、ドイツ企業などは、イランとのビジネスを継続すると、国際決済システムを使用できず、国際貿易の決済ができないので、イランとのビジネスを中止している。

 このため、EU諸国などは、イラン核合意維持のためにドル以外の通貨による国際決済システムを構築する必要に迫られている。そして、米国に経済制裁されている中国、ロシア、イラン、トルコと、イラン核合意維持国の欧州諸国、インドなどが結束して別の国際決済システム構築を協議している。

 このことで、ドル基軸通貨体制の崩壊か弱体化を引き起こすことになる。米国の経済制裁が有効なのは、ドル基軸通貨によるが、それができなくなる。それは、米国の経済覇権の崩壊の原因になる。

 もう1つのドル基軸通貨の理由は、主要原油産出国がドルペッグ制であり、ドル通貨でないと原油が買えないことであったが、イランの原油は、他通貨で買えることになる。

 ということで、ドル基軸通貨システムが崩壊する可能性が出てきた。

 世界の覇権は、米国から離れて流動的になる可能性がある。当分は中国と米国の覇権をめぐる戦いになるが、欧州は米
国から離れる可能性がある。

2.中国と欧州・日本

 世界は混乱の状態になるが、次に米国抜き国際決済システムを構築して、その運営者が経済覇権を握ることになる。しかし、再度米国になる可能性もあるが、貧富の差が拡大して、米国は国内の安定が優先で、世界の面倒を見る余力がない。

 中国かもしれないが、中国の夢で覇権拡大というので、周辺諸国は警戒しているし、スパイ行為でハイテク技術を得ようとするなど指導国らしからぬ行動をしている。

 ドイツと日本は、民主主義国家であり、自由貿易を信条としているなど、世界の安定には一番良いと思われている。しかし、ドイツなどは、中国への輸出が多いので、どうしても中国寄りになっている。また、ドイツはエネルギーをロシアに頼っているので「中露寄り」になってしまう。それを嫌う国も多い。

 日本は、中国近傍にいるために中国への警戒から米国寄りになっている。中国近傍のアジア諸国も日本と同じように中国への警戒心があり、中国寄りというわけにはいかない。このため、日本の指導力を期待している。

 ということで、またもや「ハートランド対リムランド」の戦いに収束してくる可能性を感じる。米国が世界から孤立しても、英国や豪州、フランスなどが日本に近寄っているが、このためである。

 日本は米国以外の国が望む自由貿易擁護のために、TTP11やRCEPなどの自由貿易圏構想の中心にいる。この面からも日本への期待が大きい。

 日本は、今まで述べてきた大きな危機(ハイインフレ)時に、社会改革ができる。高齢者の金融資産は大きく目減りするが、若者の収入はインフレ分上昇するので、貧富の差も解消することになる。日銀・政府の対処が良ければインフレでも、大きく国全体が破綻することはない。このため、日本は次世代の世界を作る主導的立場になる可能性が高い。

3.日本指導原理の思想

 日本が指導力を発揮すれば、その指導力の根本にある思想を明らかにする必要がある。この指導原理は、日本精神の中心にある「神道の思想」を明らかにすることだ。

 ということで、神道は言上げをしないというが、説明が必要になっている。

 日本の神道の根本は、縄文人の自然観であり、人間は平等であり、自然の原理の中で自然と共生して人間も暮らすことが重要であるという教義であると見る。このため、戦争もなく人が寄り添い平和に暮らしていた。

 戦争が始まるのは、弥生時代、稲作が始まり貧富の差が出てきた時から始まる。しかし、敵を皆殺しにはしない。日本は世界と比べると平和である。日本人は集団主義で、滅私奉公が一番性格にあっている。そして、現在、過度な個人主義の行きついた先が、新自由主義であり、貧富の差が拡大した。このことで見直しの機運になり、トランプ革命が起きたのである。

 縄文人は、ホモサピエンス本来の集団生活で助け合い、皆平等であり、縄文土器・漆などの知恵を出し合って生きていた。今の日本人は少数の華人と縄文人の掛け合わせであり、縄文人の気質を色濃く持っている。

 そうしないと、災害、震災などの後に無償のボランティアがこれほど集まらないし、災害時にお互いが助け合うこともない。対して、キリスト教では愛の精神を教義として規定して、闘争だけの欧州社会を和らげる必要があった。

 日本の仏教や神道には、そのような明文的な教義はないが、結果的に行っているだけである。自然な感覚でそうしている。

 このことは、徐々に考古学や人類学などの発展や脳科学の発展からわかり始めてきた。

 そして、この日本人の考え方が世界の範になってきた。その考え方を広めたのが、弱い人間が徐々に成長する物語や弱い者が皆で、強い者を懲らしめるアニメや漫画で、世界にその愛好家がいる。

 世界も、個人主義から非個人主義で助け合いの社会への移行が起きようとしているように感じる。

 さあ、どうなりますか?

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日本国際戦略問題研究所長 津田慶治

日本国際戦略問題研究所長 津田慶治

1975年、東工大制御工学科卒。日本電信電話公社に入社し、つくば博覧会協会で街づくりを経験。通信研究所で人工知能など最先端のコンピューター技術の開発、IBMで米国企業文化に触れる。NTTデータで省エネ技術や米国、中国、インドなどでソフト開発を行い、カントリーリスクから国際問題を研究した。その後同研究所主宰。 1999年から「国際戦略コラム」を主催。国際関係や日本文化を論理的な視点で冷静に評論中。有料メルマガは、まぐまぐ大賞の経済政治分野で2位。
日本国際戦略問題研究所長 津田慶治

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