1.米国の中間選挙
 
 中間選挙で、トランプ大統領の共和党下院は劣勢にある。もし、下院で共和党が負けると「弾劾裁判」が始まる。このため、トランプ大統領としては、絶対に勝つ必要がある。中間選挙では、東海岸・西海岸は民主党の牙城であり共和党も諦めているし、逆に南部は共和党の牙城であり盤石である。

 問題は中西部、北部工場地帯などの地域であるが、この地域では保護貿易は有効な票取りができるテーマだ。

 この切り札が中国輸入品や欧州や日本への自動車輸入への関税25%で、この政策で一気に人気が出ると見て、カードを温存している。保護主義政策は、民主党も労働者への保護から反対が難しい。特に昔の工場地帯での得票という意味では保護主義が、有効なカードになる。

 このため、9月に中国への25%関税を実施すると、次に11月中間選挙直前に発動する日本や欧州からの自動車に25%の関税に移る。

2.日米交渉

 しかし、9月に日米首脳会談でゴルフも行うように安倍晋三首相と友達であるから、トランプ大統領は、あまり強硬な要求しないと評論する人がいるが、それは間違いである。トランプ大統領は、はじめは様子見をしていて、相手の手の内を知ってから、自分に有利な取引を行う。

 日本は中国との安全保障上の問題があることがわかり、経済問題での譲歩を引き出しやすいとトランプ大統領は感じている。それがわかるので地上イージスなどを売り込んできた。安倍首相も「阿吽の呼吸」で了解してきた。

3.自動車か農畜産品か

 この延長上で、トランプ大統領は、自動車への25%関税を取るか、農畜産品の自由化を取るか選択しろと安倍首相に突きつけるはず。ヘリテージ財団が、すべての国は自由貿易するべきという政策提言して、それをトランプ政権は採用している。この線に従って、EUは米国と交渉しているが、自動車関税を別建てにしている。ユーロの為替操作を問題視しているからである。

 日本への自動車輸入関税は、すでに日本は0%、米国は2%となっているので、自動車への25%関税で脅し、農畜産物の自由化を迫ることになる。それと、日銀の金融緩和という手段で為替操作しているので円が安いと思っているので、固定レートにするべきとくる。

 米国は、このため、メキシコや韓国と結んだ管理貿易にするか、完全な自由貿易にするかの選択を迫ってくることになる。

4.日本も覚悟が必要

 今まで、日本としては、米国の貿易黒字を少なくする努力をしてきたが、不十分であった。貿易収支をゼロ近辺にする貿易を提案した方が良い。ある意味、管理貿易的ではあるが、日米の歩み寄れる点はここにしかない。

 米国の輸出品は農畜産物やLNGなどのエネルギー資源であり、この2つを十分に輸入して黒字を消すとして、自動車についても現地生産を進めることにし、農畜産物の関税も豪州並みにする。

 黒字を減らすために、中東からのLNGを止めて米国のLNGを大量に輸入することである。農産物の輸入についても関税を下げていくことで量が増えることになる。特に小麦と大豆を輸入しても国内生産者数が少ないので、問題がない。

 問題は、牛乳・豚肉・牛肉などの畜産品とコメなどの農産物である。この関税を低くして輸入量を上げると、超円安時に高騰してハイインフレになるので、国内生産者の改革が必要になる。

 ここは、覚悟を決めて、日本の改革を進めるべきである。

 農業や畜産でも国内の大規模農家育成策を実施し、自由化を行うことで低価格にする努力をしておくことは、超円安インフレ時のことも考えると、重要なことである。

 ここは、米国の要求により仕方なくということで、国内改革を推進した方が良いと思う。

 さあ、どうなりますか?

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日本国際戦略問題研究所長 津田慶治

日本国際戦略問題研究所長 津田慶治

1975年、東工大制御工学科卒。日本電信電話公社に入社し、つくば博覧会協会で街づくりを経験。通信研究所で人工知能など最先端のコンピューター技術の開発、IBMで米国企業文化に触れる。NTTデータで省エネ技術や米国、中国、インドなどでソフト開発を行い、カントリーリスクから国際問題を研究した。その後同研究所主宰。 1999年から「国際戦略コラム」を主催。国際関係や日本文化を論理的な視点で冷静に評論中。有料メルマガは、まぐまぐ大賞の経済政治分野で2位。
日本国際戦略問題研究所長 津田慶治

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