9月7日に告示された自民党総裁選は10日、本格的な論戦がスタートした。連続3選を目指す安倍晋三首相(党総裁)と、6年ぶりの直接対決に挑む石破茂元幹事長は所見発表演説会と共同記者会見に臨み、憲法改正や地方創生などをめぐり「舌戦」を繰り広げた。今回の総裁選で主要メディアは、国会議員票、地方票ともに安倍首相が7割超を獲得すると予想しており、早くも「消化試合」との声があがる。言論ドットコム編集部は今回、陣営の推薦人に注目し、これまでの取材を加味して、総裁選後の「入閣」を予想した。

 告示日に提出された推薦者リストを見ると、安倍首相の陣営は主要派閥からバランスよく人選したのがうかがえる。安倍首相の出身派閥である細田派や、盟友関係にある麻生太郎財務相の麻生派、党務を任せる二階俊博幹事長の二階派に加え、安倍首相からの禅譲を期待して出馬を見送った岸田文雄政調会長が率いる岸田派などから幅広く推薦人を確保した。6派閥1グループと無派閥議員で構成される。

 対する石破陣営は、石破派以外は参院竹下派と谷垣グループ、無派閥の議員にとどまっている。当選回数別にみても、安倍陣営は当選10回以上のベテランから若手議員まで「配置」。石破陣営は若手・中堅議員が中心だ。言論ドットコム編集部が注目したのは、これまでの自民党総裁選で、安倍陣営の推薦人に名を連ねた人々がその後にどれくらい「入閣」しているのかという点である。メディアでは「論功行賞」と批判されるものの、総裁選という事実上の「次期宰相」を決める選挙で、最前線に立つ「推薦人」たちの貢献はどのように評価されているのだろうか。これまでの経緯を踏まえつつ、安倍首相が再起を果たした2012年9月、そして無投票で再選した2015年9月の総裁選を見てみたい。

■2012年=「オールスター」型
 
 今や5年9カ月にわたる長期政権を築いた安倍首相だが、そのスタートは「出馬を断念すべきだとの慎重論があった」という2012年9月の総裁選にある。小泉純一郎首相から幹事長や官房長官などに抜擢され、2006年に首相の座に就いたものの、体調不良などのため1年で辞任。保守派の期待にこたえることなく、その後は厳しい批判にさらされていた。

 2009年に自民党が野党に転落し、その後もしばらくは目立った言動を控えてきたが、民主党政権下の経済状況や外交・安全保障政策を懸念する党内外の声に押され、再起を模索。2012年9月の総裁選は石破氏が優位との予想が流れる中、「3位もありえる」という厳しい状況下で出馬に踏み切った。首相側近の1人は「負ければ引退も覚悟していたはず」と明かす。

 それだけに2012年9月の総裁選で、安倍氏の推薦人に名を連ねた人々は「苦楽をわかりあえる、本当に仲が良い『オールスター』型」(首相周辺)となった。首相に近く、第1次安倍政権で官房副長官に就いた下村博文氏や首相補佐官だった世耕弘成氏、思想が近く長年政治活動を共にしてきた古屋圭司氏や城内実氏のほか、「将来の女性宰相候補」として安倍首相が太鼓判を押していた稲田朋美氏らを推薦人にした。「これだけのメンバーを前面に出して敗北すれば、党内保守派は当面おとなしくしていなければならなかったかもしれない」(前出の首相側近)というほどだ。
《2 「『推薦人リスト』から見える人事」に続く》

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