1.日米通商交渉

 米中間選挙では、共和党下院は苦戦しているために、トランプ大統領は、挽回のために、日本との通商交渉で強く当たると発言して、白人労働者の支持を確実にすることを狙っている。日米FTAをトランプ大統領は望み、日本は拒否している。

 9月の自民党総裁選挙後、安倍晋三首相は訪米してトランプ大統領と首脳会談に臨む。この時の交渉シナリオを十分に検討することが重要である。もし、自動車輸入関税25%になるなら、日本の自動車企業は大幅な見直しを迫られ、日本経済にも悪影響が及ぶことになる。

 この交渉で日米関係が悪化すると日米安保体制にも大きく響くことになる。しかし、ピンチはチャンスだ。このため、米国の立場も考量した日本にとってもよい案を持っていくことだ。

2.日本の問題点

 日銀の長期の量的緩和により、貿易赤字になると超円安になる危険が長期的視野から見通せる状態である。もちろん、日銀の量的緩和を止めるとそのようなことにはならないが、そうすると、逆に短期的には、国債金利の上昇と貿易黒字・対外債権量から円高になる。

 日本の経済運営は、短長期的に矛盾した問題を抱えている。このコラムでも一連の考察をしているが、この解決のためには、人口増加が必要であるが、もう1つの解決方法は、国内と同様な市場を広げて、市場規模拡大を目指すことである。

 米国も空洞化とドル高で、輸入品と円安を問題視しているなら、ドル円の固定相場にして、無限大の為替スワップ契約をして、為替操作を両国で行い固定化させれることと、完全貿易自由化すればよい。そうすれば、市場規模は米国も含むことになり、4倍になり、日本の問題は一挙解決になるし、米国は日本企業の工場誘致も楽になるし、農産物輸出も自由にできる。

 もう1つが、ドル基軸通貨に円も入ることで、実質、円ドル基軸通貨制度になる。円とドルが等価値の位置づけになるからで、円で外貨準備もする国も出てくる。円の価値も安定する。

3.円ドルリンクと完全貿易自由化

 円がドルとリンクして完全自由貿易にすれば、日本企業の強みと米国企業の強みが強化されて、最強の組み合わせになる。しかし、反対者は日本農業の衰退を問題視するが、日本農業を残すなら大規模農家にするしかない。

 就業平均年齢が70歳であり、遅かれ早かれ離農するので、若者にも魅力ある農業を目指すことが今、必要になっている。農家への補助金は米国でも行っているので、日本も補助金で農家を支援できる。

 2020年以降の日本経済を見たら、人口減少で経済規模が縮小して、日本企業も衰退することが確実である。それを避ける方法として、円ドル固定相場制と完全貿易自由化は最良案である。

 1ドル=107円でプラス・マイナス5円幅という提案を日本がすれば良いし、米国からは1ドル=100円ということになるが、そこは協議するしかない。

4.日米経済共同体

 このように、円ドル固定相場制と完全貿易自由化プラス制度は、日米経済共同体を作ることである。これにより、日本と米国の経済が一体化して、米国の経済覇権を再度、日米で協力して強固にすることができ、かつ為替の変動がなく通関手続きもなく、米国への工場進出もしやすいことになる。米国も日本を国内市場ということになる。

 経済的衰退を恐れる日本も米国と経済の一体化することで、衰退を気にせずに復活できる。特に米国民が良い職を求めて、日本に来れば労働人口減少から労働人口増加となる。

 日米経済共同体にできるのは、トランプ大統領の移民禁止で、日本と同じような仕組みができたことで、日米の基本的な社会システムが同じになったことが大きい。

 このため、日米の市場アクセスもお互いの国内法を順守すれば自由にできることになる。国民の自由な移動ができるようにして、米国が望むから日本は英語も公用語にしたらよい。

 TPP11も日米共同体が参加とすれば、丸く収まる。将来的には日米経済共同体を広げて、例えば英国も入れ、豪州も入れて日米英豪経済共同体にして、TPP加盟国も順次この経済共同体に入れればよいことになる。

5.日米関係は「ウィンウィン」

 米国と日本の問題点は、相互補完的でウィンウィンの関係にある。それをトランプ大統領は脅しで交渉をするので、米国のみの利益を考えるために全体構造が見えなくなっているだけである。

 お互いの問題点を見ていると、日本の悩みと米国の悩みは相互で補完できる関係にあることを見出す。しかし、米国は中間選挙に勝つ必要から冷静さを失っているので、日本が両国の問題点を分析し解決案を提案することが必要になっている。

 というように、日米経済共同体が通商交渉での解決案になり、9月の首脳会談に出せば解決する可能性が高い。お互いにとってベストの解決案にもなっている。

 さあ、どうなりますか?

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日本国際戦略問題研究所長 津田慶治

日本国際戦略問題研究所長 津田慶治

1975年、東工大制御工学科卒。日本電信電話公社に入社し、つくば博覧会協会で街づくりを経験。通信研究所で人工知能など最先端のコンピューター技術の開発、IBMで米国企業文化に触れる。NTTデータで省エネ技術や米国、中国、インドなどでソフト開発を行い、カントリーリスクから国際問題を研究した。その後同研究所主宰。 1999年から「国際戦略コラム」を主催。国際関係や日本文化を論理的な視点で冷静に評論中。有料メルマガは、まぐまぐ大賞の経済政治分野で2位。
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